レシピ
材 料
Recipe no.343
- ウォッカ・・・・・・・・・・・45ml
- ライムジュース・・・・・・・・10ml
- ジンジャービア・・・・・・・・Full
- ( もしくはジンジャーエール )
技法 = ビルド
※ 割り材料は ジンジャーエール でもO.Kです。
作り方
グラスは ミュールカップ を使います。 他には炭酸が抜けにくい コリンズグラス や コブレット を使いやすいのでおすすめです。
アルコール度数 = 5% ~ 6% 前後
由来・誕生
モスコミュールの誕生
モスコミュールが世界中で定着した理由として一番最初に挙げるのが、1933年にアメリカ禁酒法が終わり、ウォッカもアメリカに輸入されるようになりました。 しかしバーボン・ウィスキーとライ・ウィスキーの存在が大きく、ウォッカはあまり浸透しませんでした。
そこで1946年にハリウッドにお店を構えていた「 ジャック・モーガン 」というバーテンダーがイギリス生まれのジンジャービアを使ったカクテルを売るためにジンジャービアを大量に仕入れました、しかしあまり売れず大量に残った在庫を処分するために考えたのがジンジャービアにウォッカを混ぜたカクテルでした、これが大いに評判となります。

さらにモーガンの友人であるジャックは銅製のマグカップを大量に仕入れましたが、これもあまり売れずにいたところ、その友人の案によってモスコミュールを銅製のカップで提供し、現在の形になったそうです。
この他にも当時スミノフ・ウォッカを販売していた会社が「 ニューヨークでモスコミュールが流行している 」とアメリカ全土に広げて定着させたという諸説もあります。
モスコミュールの由来

Photo = ラバ( ミュール )
モスコミュールの「 モスコ 」とはモスクワのことで、「 ミュール 」とはラバのことを指します。 ラバとは雄のロバと雌の馬の交雑種で、北米やメキシコなどで飼育されている家畜です。
このラバは、ロバよりも体格が大きく、後ろ足でキックする習性があるため、アルコール度数が強かったり、刺激が強いドリンクなどでよく言われる「 キックがある 」という言葉の元になった動物です。
日本でモスコミュールと言えばウォッカにジンジャーエールですが、本来はウォッカとジンジャービアで飲まれており、簡単に言うと結構辛口なジンジャーエールにウォッカを入れるので、ウォッカのアルコール感ある飲みごたえと辛口ジンジャーエールから「 ラバに蹴られたような 」ドリンクということでモスコミュールとなりました。日本ではジンジャービアが普及していないため、代わりにジンジャーエールで割って飲むようになったそうです。
特徴・感想

Photo = フェンティマンス・ジンジャービア
由来・誕生で挙げた通り本来モスコミュールとは、ウォッカ・ジンジャービア( 正確にはライムジュースも少量入ります )のレシピです。 ジンジャービアはあまり日本では普及しておらず、定着もしていないため、手に入れることもあまりできません。( 現在ではインターネットの普及により買いやすくなっています )
そのため昔から日本ではウォッカのジンジャーエール割りが「 当たり前 」になっていて、モスコミュールの由来を知っている方でも、元々はジンジャービアを入れていたことを知らない方がいるほどです。
ぜひ一度本来のレシピを試していただき、どちらが自分の好みにピッタリかを検証してみるのも楽しいお酒のひと時になるのではないかと思います。ちなみに筆者はウォッカ( レモンのフレーバード・ウォッカ )・レモンジュース・ジンジャーエールが好きです。
このカクテルで使う材料

ベースのお酒 ウォッカ

世界4大スピリッツの一つ、ロシア生まれのウォッカです。 ウォッカの特徴は、連続式蒸留機と白樺やヤシを焼いた活性炭で濾過をすることで、無味無臭に近くクリアな味わいな所です。 他のスピリッツと違い原料が定まっていないことが特徴としてあります。
ウォッカの歴史

14世紀後半にブドウを原料とした蒸留酒が世に出ると、15世紀にも入りロシアに蒸留の技術が入ってきました。 蒸留の技術は錬金術師が偶然編み出したものとされており、その技術によって生まれたお酒は、ラテン語で「 アクア・ヴィテ 」( 命の水 )と呼ばれるようになりました。そのアクア・ヴィテがロシア語に変換すると、「ジィーズナヤ・ヴァダー 」ジィーズナヤ=命、ヴァダー=水です。 そのヴァダーがウォッカの語源と言われています。
ウォッカが世界に広まったきっかけは、1917年頃ロシア革命でフランスに亡命したスミノフ2代目の「 ウラジミール・スミルノフ 」がパリで小規模な工場を建て、そこで製造を開始したのがきっかけです。 その後もこの製法は南ヨーロッパからアメリカまで伝わります。 そして第二次世界大戦後にはさらに世界中に広まり、各地で生産されるようになりました。
ウォッカの原料
穀物を蒸して麦芽を加え、糖化、発酵させ、蒸留してアルコール度数を95度以上のグレーン・スピリッツを作ります。 それを水でアルコール度数40度~60度まで薄めた後、白樺やヤシを焼いた活性炭で濾過します。
この手法は1810年頃にペテルブルクの薬剤師「 アンドレイ・アルバーノフ 」が三過法を考案しました。 更に19世紀に入り、連続式蒸留機が導入され、現在の製法に近づきました。

こうしてウォッカは無味・無臭の状態に近づいていきました。
ウォッカが他のスピリッツと違う点は、各生産地で原料が違う所です。
- ロシア = 小麦
- フィンランド = 大麦
- ポーランド = ライ麦
- アメリカ = とうもろこし
また銘柄によってはじゃがいもや果実を使われています。
- ウォッカの歴史・製法は ⇒ コチラ
ウォッカの種類
〚 ピュア・ウォッカ 〛

ウォッカの特徴は、連続式蒸留機と白樺やヤシを焼いた活性炭で濾過をすることで、無味無臭に近くクリアな味わいな所です。
他のスピリッツと違い原料が定まっていないことが特徴としてあります。これらを「 ピュア・ウォッカ 」と呼びます。
Photo = シロック Siroc
- おすすめのピュア・ウォッカは ⇒ コチラ
〚 フレーバード・ウォッカ 〛
ピュア・ウォッカをベースにして、ハーブや果実、香辛料などを浸したり、人工甘味料を添加して製造されます。
無味無臭に近いウォッカから一気に香り豊かなスピリッツになり、ソーダ割りなどのシンプルなカクテルにも使えるようになります。 風味の種類もレモンやオレンジをはじめ、豊富にあります。
Photo = グレイグース・ル・オランジュ Grey goose

- おすすめのフレーバード・ウォッカは ⇒ コチラ
カクテルの材料
ジンジャーエール

1837年~1901年のイギリス・ヴィクトリア朝時代、そんな時代の中でジンジャーエールの元となった「 ジンジャービール 」が飲まれていました。
1851年頃、アメリカ人外科医で薬屋を営んでいるトーマス・カントレルは、北アイルランド・ベルファストで、ジンジャーエールを初めて造りました。カントレルが誕生させたジンジャーエールは、色が濃く、甘く、ジンジャースパイスの香りが強いのが特徴でした。ジンジャーエールには「 ゴールデン・スタイル 」と 「ドライ・スタイル( ペールスタイル )」の2種類あり、カントレルが誕生させたのは、ゴールデンスタイルです。 その後、地元の飲料メーカーである「 グラッタン社 」で販売を開始したと伝えられています。
ドライ・ジンジャーエールは、カナダで誕生しました。薬剤師である「 ジョン・J・マクローリン 」は 1890年に炭酸水の瓶詰工場を設立し、1904年水に添加するフレーバーエキスに力を入れ始めました。 その際にペール・ドライ・ジンジャーエールの開発にも着手します。 そして1907年に「 カナダ・ドライ・ジンジャーエール 」を特許取得し販売しました。
- ジンジャーエールの歴史・主なブランドとカクテルレシピは ⇒ コチラ
ビルドとは?

材料をグラスに入れて混ぜることを言います。 この「 混ぜる 」にはいくつか種類があり、今回のカクテルには「 ビルド 」を使用します。
お家で簡単人向け
バースプーンやマドラーをグラスの内側に沿って底まで入れます。 グラスに当てたままクルクル回します。 炭酸系を使っている場合は、早く混ぜると炭酸が膨れてこぼれてしまうだけでなく、炭酸自体も抜けてしまうのでゆっくり回すように注意しましょう。
本格的にやってみたい人向け

Step 1 = まず左手はグラスの底を押さえます(ドリンクを体温で温めないため)右手はバースプーンを持ちます。(左利きの人は逆になります)
Step 2 = バースプーンを左の写真にあるように中指と薬指の間に挟みます。
Step 3 = 親指と人差し指もバースプーンを挟んで持ちますが、この2本の役割は、落とさないようにするためだけのものなので軽く持ちましょう。
Step 4 = バースプーンの背中をグラスの内側の縁に沿って底へ持っていきます。
Step 5 = 自分の体より向こう側へ回す際は薬指で左回りに押すように持っていき、自分の体側に戻す際は右周りに中指で引き戻すようにバースプーンを移動させます。 この時にバースプーンの背中は常にグラスの外側へ向いています。
この動作の繰り返しになります。 最初は難しいと思うので、大きめのグラスに氷のみで練習すると良いでしょう。 慣れると便利なので、ぜひマスターしてください。
- バースプーンの詳しい使い方は ⇒ コチラ
このカクテルのおすすめ グラス
ミュールカップ Mule cup

ウォッカベースの代表的カクテル「 モスコミュール 」を飲む際に使うカップ。
銅製で抗菌作、熱伝導に優れ、古くから調理器具や食器などに使われている素材です。
冷たいドリンクを入れると、カップ自体が急冷されて、長時間その冷たさを保持すします。
容量は 250ml ~ 600mlと幅広くあります。
コリンズグラス Collins glass
背の高い円柱形の細いグラス。 別名トールグラス・チムニーグラスとも呼ばれます。
カクテル「 ジョン・コリンズ 」が名前の由来で、細長いのは、炭酸を抜けにくくするためにこの形になっている。
容量 270ml ~ 360mlくらいが一般的。

コブレット Coblet

- グラス紹介ページは ⇒ コチラ
このカクテルで使う道具
