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ウォッカの起源をめぐっては、1982年に国際裁判で決着がつき、ロシアがポーランドとの争いに勝って、その名を独占的に名乗る権利を得た、という話が広く知られています。しかし歴史家たちは、この裁判の記録を実際には見つけられていません。単なる広まりすぎた伝説である可能性もあります。
はっきりしているのは製法の方です。穀物をアルコール度数95%以上まで蒸留し、水で薄めたのち、白樺やヤシ殻の活性炭でろ過することで、ほとんどの風味が消え去り、あのクリーンで無個性な味わいが生まれます。
今夜、自らの歴史すら決着がついていない酒を、味わってみてください。
ウォッカの歴史
ウォッカの誕生

Photo|アブソルート Absolut vodka
ヨーロッパで初めてアルコールの蒸留酒が造られたのは、12世紀ごろのイタリア・サレルノとされています。中世の医学者や錬金術師のあいだで研究されたこのお酒は、ラテン語で「アクア・ヴィテ(命の水)」と呼ばれ、まずは薬として広まりました。
この技術がロシアに伝わったのは14世紀の終わりごろで、ジェノヴァの商人がブドウの蒸留酒をモスクワへ持ち込んだのが始まりとされています。ただ当時のロシアでは、蜂蜜酒やビールのような醸造酒が好まれていて、蒸留酒はあくまで薬という扱いでした。
ロシアで穀物を原料にした蒸留が本格的に始まったのは、それから約100年後の15世紀後半と言われています。ポーランドでも同じ時期に造られていて、「wódka(ウォッカ)」という言葉が文書に初めて登場するのは1405年、ポーランドの裁判記録です。
ウォッカという名前は、ロシア語の「voda(ヴァダー)」、ポーランド語の「woda(ヴォダ)」に「小さな」という意味の形を加えたもので、どちらの国でも「小さな水」を意味します。ウイスキーの語源が「命の水」なのに対して、ウォッカは「水」そのものから名前が生まれたお酒なのです。
ロシアでは15世紀後半に、皇帝イヴァン3世がウォッカの製造を国の独占事業にしたとされています。ウォッカは国の大切な財源となり、その後も長いあいだ、価格や製造をめぐって国が管理するお酒であり続けました。
ウォッカの発祥国
ウォッカの「元祖争い」、実は決着していなかった話
ウォッカの話になると、よく出てくるエピソードがあります。「1982年に国際裁判でロシアとポーランドが争い、ロシアが発祥国と認められた」という話です。
バーに立っていた頃、私もお客様から何度かこの話を聞きました。ところが調べてみると、この裁判の記録はどこにも見つかっていません。
今回は、ウォッカの歴史に残る「決着したはずの争い」をたどってみます。透明で味のないこのお酒は、実はかなりドラマのある経歴の持ち主です。
■ 有名な「ウォッカ発祥裁判」
よく語られる筋書きは、こうです。1970年代後半、ポーランドが「ウォッカは自国が発祥だ」と主張し、その名前を独占的に使う権利を求めました。
これに対してソビエト連邦が反論し、国際的な調停の場で争った結果、1982年にロシアが発祥国と認められた、というものです。
日本語の解説記事でもよく見かける話で、私自身も長いあいだ事実だと思っていました。
■ ところが、記録がどこにもない
この話の出どころとされるのが、ソ連の料理史研究家ウィリアム・ポフリョプキンが書いた『ウォッカの歴史』という本です。彼は、ポーランドとの商標をめぐる争いがきっかけで、ウォッカの起源を調べるよう依頼されたと書いています。
ところが、のちに歴史学者マーク・シュラッドが調べたところ、そのような争いが実際に起きた証拠は見つかりませんでした。本が引用している資料の多くも、存在を確かめられなかったといいます。
ちなみにこの本は1979年に書き上げられ、出版されたのはソ連崩壊直前の1991年です。「国際裁判で決着」という劇的な話は、どうやらこの本から広まった伝説だったようです。
■ では、本当に古い記録は?
確かな記録として残っているのは、「言葉」の方です。「wódka(ヴトカ)」という言葉が初めて文書に登場するのは1405年、ポーランドのサンドミェシュ地方の裁判記録だとされています。
ただし当時のウォッカは、今のようなお酒ではありません。薬や、肌を清める化粧品のようなものを指す言葉でした。
一方、ロシア語の文書にこの言葉が現れるのは1533年です。しかもそこで指していたのは、ロシアの商人がポーランドから持ち込んだ薬用の飲み物だったとされています。
■ どちらの国でも「小さな水」
おもしろいのは、言葉の意味です。ロシア語でもポーランド語でも、ウォッカは「水」を意味する言葉に「小さな」というニュアンスを加えた形、つまり「小さな水」という意味になります。
隣り合う二つの国が、同じように「かわいい水」と呼んで愛してきたお酒なのです。どちらが元祖かを決めるのが難しいのも、無理はないのかもしれません。
元祖争いの答えは出ていません。でも、両方の国にそれぞれの「小さな水」の歴史がある、と考える方が、このお酒には似合っている気がします。
■ 本当にあった「ウォッカ戦争」
実は、ウォッカをめぐる争いが本当に起きたこともあります。2000年代半ば、ヨーロッパ連合(EU)で起きた、通称「ウォッカ戦争」です。
ポーランドやフィンランド、バルト三国など、昔からウォッカを造ってきた国々は「ウォッカは穀物かじゃがいもで造るものだ」と主張しました。これに対し、イギリスなどはブドウなどほかの原料も認めるべきだと反論し、アメリカも強い定義に異を唱えました。
最終的には、どの原料でも「ウォッカ」と名乗れる一方で、伝統的な原料以外で造った場合はラベルに原料名を書く、という形で折り合いがつきました。争いはあっても、決着のつけ方はなんとも大人です。
■ 「味がない」は、手間のかたまり
ウォッカの特徴といえば、クセのない、すっきりとした味わいです。これは偶然ではなく、何度も蒸留して高い度数のアルコールを取り出し、水で薄めてから炭でろ過する、という手間の積み重ねで生まれています。
炭でろ過する方法は、18世紀の終わりごろ、サンクトペテルブルクの薬剤師トビアス・ロヴィッツが、炭で液体を清める研究をしたことが始まりとされています。今も白樺の炭でろ過する銘柄があるのは、この流れを受け継いだものです。
「味がない」と言われると物足りなく聞こえますが、カウンターの内側から見ると、これほど頼りになるお酒はありません。果汁でもトマトでもジンジャーエールでも、相手の味をそのまま生かしてくれるからです。
■ 「ウォッカ=強いお酒」は誤解?
日本では「ウォッカは強いお酒」というイメージがありますが、多くの銘柄のアルコール度数は40%前後です。これは、ジンやウイスキーとほとんど変わりません。
イメージを強くしているのは、ポーランドの「スピリタス」の存在でしょう。アルコール度数96%という、世界でもっとも度数が高いお酒として知られています。
ただしスピリタスはそのまま飲むためのものではなく、果実酒づくりやカクテルの材料として、ごく少量を使うのが基本です。
■ 透明な酒の、にぎやかな経歴
ロシア革命で国を離れたスミルノフ家のウォッカは、のちにアメリカへ渡りました。1940年代にはモスコミュールの流行もあって、ウォッカは世界中のバーに欠かせないお酒になっていきます。
味も色もないのに、元祖争いの伝説があり、本物の「戦争」があり、国境を越えた家族の物語もある。透明なグラスの中には、意外なほどにぎやかな歴史が詰まっています。
今夜、自分の歴史すらまだ決着していないお酒を、モスコミュールで一杯いかがでしょう。
原料・製法

穀物を蒸して麦芽を加え、糖化、発酵、蒸留をおこない、アルコール度数95%以上のグレーンスピリッツを作ります。それを水でアルコール度数40%~60%まで薄め、白樺やヤシを焼いた活性炭で濾過します。
この手法は1810年頃にペテルブルクの薬剤師「 アンドレイ・アルバーノフ 」が考案し、製造に取り入れられました。
更に19世紀に入り、連続式蒸留機が導入され、現在の製法に近づきました。 こうして現代のウォッカは、無味・無臭の状態に限りなく近づいていくのです。
ウォッカが他のスピリッツと違う点は、各生産地で原料が違う所です。
- ロシア = 小麦
- フィンランド = 大麦
- ポーランド = ライ麦
- アメリカ = とうもろこし
また銘柄によってはじゃがいもや果実が使われています。
日本ではアルコール度数の高いお酒として知られていますが、実際の度数は40%くらいで、他のスピリッツと大差はありません、ただウォッカの中にはアルコール度数がかなり高いものも存在します。
その中でも「 スピリタス・ウォッカ 」という、アルコール度数96%の世界で一番アルコール度数が高いウォッカがあり、それが理由でウォッカ = アルコールが高いというイメージが付いたのかもしれません。
ウォッカの種類
ピュア ウォッカ

ウォッカの特徴は、連続式蒸留機の回数の多さと、白樺やヤシを焼いた活性炭で濾過をすることです。
それにより無味無臭に近くなり、クリアな味わいが生まれています。
他のスピリッツと違い主原料が定まっていないことが他に特徴としてあります。
Photo|シロック Siroc
- おすすめのピュア・ウォッカは ⇒ コチラ
フレーバード ウォッカ

ピュアウォッカをベースにして、ハーブや果実、香辛料などを浸したり、人工甘味料を添加して製造されたウォッカをフレーバード・ウォッカと呼びます。
無味無臭に近いウォッカから一気に香り豊かなスピリッツになります。種類もレモンやオレンジなどの果実類をはじめ、ハーブやスパイスなど豊富にあります。
Photo|グレイグース・ル・オランジュ Grey goose
- おすすめのフレーバード・ウォッカは ⇒ コチラ
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ウォッカベースの主なカクテル
ロングカクテル

ガツンとくるアルコール感とクリアさが特徴のウォッカをベースに、柑橘系酸味のライムジュースを加えたシンプルなレシピで、ウォッカの強さを生かしつつ、レモンやライムの酸味が加わることでバランスの取れた味わいになります。
ウォッカのベースに、トマトジュースの旨味、レモンジュースの酸味が絶妙に調和しています。備え付けしているものも、きゅうりやセロリが一般的に多く、そのスタイルも世界中で飲まれている理由なのかもしれません。

ショートカクテル
ドライジンとは違い、ウォッカは無味無臭に近いため、風味はドライベルモットの風味が強く押し出される形となります。 マティーニと同じく辛口とガツンと来るアルコールが特徴で、アルコール度数ももちろん高めなので、注意が必要です。


ウォッカのクリアな飲みごたえに、スロージンの甘酸っぱい風味と、ライムジュースの酸味が強く感じられ、甘味とサッパリ感があり飲みやすくなっています。 スロージンとライムジュースの存在で、食前酒としてもおすすめです。
ウォッカのクリアな飲みごたえに、ハーブやスパイスが香る辛口のドライベルモット、爽やかな甘味のホワイトキュラソーを混ぜ合わせ、カンパリという苦味のあるハーブ・リキュールをアクセントに加えているのが特徴的です。


ウォッカの力強い味わいと、スロージンの甘い香りが口の中に広がります。ドライベルモットのほのかな苦味が全体のバランスを整え、レモンジュースの酸味が爽やかさを加えます。砂糖の甘味が、さらにコクを出します。
コスモポリタンの魅力は、その華やかでバランスの取れた風味にあります。クランベリージュースの酸味とコアントローの甘さがウォッカとライムジュースと絶妙に調和し、フルーティーで爽やかな味わいを楽しめます。その洗練された味わいと見た目から、多くの女性に支持されています。

最初に砂糖の甘さが舌を優しく包み込み、次にウォッカのすっきりとしたキレが広がります。ホワイトキュラソーの柑橘系の香りが爽やかさを添え、ライムジュースの酸味が後味を引き締めます。そのバランスの良さが、一口ごとに新鮮な驚きをもたらします。

- ウォッカベースのカクテルレシピ一覧は ⇒ コチラ
まとめ

上記に記載した通りウォッカは他のスピリッツとは違い、主原料が定まっておらず、たくさんの風味を楽しむことができます。ですが基本的にはクリアで香りや風味が弱めなことから、ロックやストレートではなく、やはりカクテルに使用するのがオススメです。












