ウィスキーの原料・製法|カクテルのお酒・ウィスキー 編

お酒のカクテルとは様々なお酒を材料として使います。 世界4大スピリッツであるジン、ウォッカ、ラム、テキーラの他にも、リキュールと呼ばれる果実やハーブを使ったもの、ウィスキーやブランデー、ワインといったお酒の代表的存在のものまで使います。

その中でも今回はウィスキーの製造・原料を紹介します。

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ウィスキーの定義

ジンなどのスピリッツに定義があるようにウィスキーにも存在します。

  • 原料は穀物であること。( 主に大麦、ライ麦、小麦、オート麦、トウモロコシ )
  • 蒸留酒。( 穀物を糖化、発酵を行い蒸留している )
  • 木製の樽で熟成されていること。

上記の3っつがウィスキーの基本定義として存在しています。この定義に加え、各国それぞれの定義があり、その国ごとの個性を出しています。

ウィスキーの原料

ウィスキーの製造には、水、酵母、穀物の主に3っつの原料が使われています。

ウィスキーの原料その1・水

ウィスキー製造にとって「 水 」とは、全工程に大量に使われ、量だけでなく質も大切で、高品質のウィスキーを造る際には良質な水の確保が必要不可欠になります。良質な水とは、酵母の栄養となるミネラル分をバランスよく含まれている天然水が最も適しています。

スコットランド、日本はミネラル分が少なめな軟水が多く、アメリカ、カナダは硬水が基本的に多いため、その土地に合ったウィスキーが出来上がります。

ウィスキーの原料その2・酵母

酵母とは別名イースト菌とも呼ばれ、麦汁の糖を食べ、アルコール発酵ガス、エステルなどの香気成分を作り出す微生物です。

酵母といってもいくつか種類があり、この酵母も各蒸留所によって個性となっています。

ウィスキーの原料その3・穀物

ウィスキーの種類によって細かく規定を設けているのがこの穀物で、モルトウィスキーに使われるのは大麦を発芽させた大麦麦芽( おおむぎばくが )のみとなっています。

グレーン・ウィスキーやバーボン・ウィスキーには大麦麦芽の他に、小麦、ライ麦、トウモロコシが使われます。 トウモロコシが多いとまろやかになり、ライ麦が多いとドライフレーバーが強くなるのが特徴です。

ウィスキーの製造 1・製麦( モルティング )

ワインやブランデーの原料であるブドウなどの果実とは違って、穀物はそのまま置いていてもアルコール発酵しません。 なのでまずは穀物のデンプンを糖に分解( 糖化 )させることを行います。
大麦が発芽する際に生成される酸素の働きによって糖化を行い、発芽させた大麦のことを「 大麦麦芽( おおむぎばくが )= モルト 」と呼びます。 このモルトを造ることを「 モルティング 」と呼びます。

モルティング

発芽室の床に置かれた大麦( フロアモルティング )

穀物を収穫した後一か月から二か月間休眠させます( 収穫した後の大麦は発芽しないため )。
次に仕上がりを均等にするために、麦粒の大きさを2種類~3種類に分けます。分けられた麦粒は水に浸し、自ら出して空気に触れさせます。 この工程をを繰り返し行い発芽を促します。 この作業を「 浸麦 しんぱく 」と呼び、2~3日間行い大麦に含まれる水分量が45%程に上がると発芽の準備完了となります。

Photo = フロアモルティング作業

大麦から幼い芽が出始めたら、12度~18度の低温で、湿度を高く保った部屋へと運び、ここで機械などで絶えず大麦に空気を送り込みながら発芽を促します。空気を送り込む手法は、フロアモルティングと呼ばれる方法が古くからあり、シャベルで床一面に広げた大麦をすくい上げ、他の方向へと投げるという作業で、現在ではこの手法を行っている蒸留所は少なく、現在はプロペラのような機械がグルグルと回り、絶えず大麦を混ぜているように空気を送り込んでいます。
5日~7日間かけて空気を送り込み、芽が適当な長さに成長すれば発芽を完了させます。あまり長く発芽を行うと、その後の発酵などに悪影響が出るため、見極めが大切です。

ウィスキーの製造 2・乾燥( フレーバー・ピート )

乾 燥

発芽を終えた麦( モルト )を乾燥させるため、網の上にモルトを広げ、下から無煙炭などの燃料を使い焚きます。 ウィスキーの特徴であるスモーキーな薫香はこの時に付くのです。 この乾燥の際に使う燃料でスモーキーな薫香もその場所での違うため、その場所の個性となります。

ピート

ピートとはモルトを乾燥させるために焚くための燃料の一種です。 植物が枯れて堆積し、長い年月が経って炭にした泥炭のことで、スコットランドなどの特徴であるピーティーと表現される風味は、このピートに由来しています。 ピートのみで乾燥させると、あまりにもピートの香りが強すぎるため、各蒸留所でピートの入れる量、タイミングが異なり、それも各蒸留所の個性となっています。

スコットランドやアイルランドでは、主にヘザー( ヒース )と呼ばれる植物群を使っています。 蒸留所によっては独自のピート湿原を所有しているところもあるほど重要な要素なのです。

ウィスキーの製造 3・糖化( マッシング )

ボウモア蒸留所のマッシュタン

モルト完成後まずはモルトに付いている余分なゴミなどを取り除きます。 次にモルトを専用の粉砕機( モルトミル )で3種類の大きさに粉砕します。 ちなみに大・中・小と別れたものの名称は「 ハスク 」・「 グリッツ 」・「 フラワー 」と呼び、これらすべてを「 グリスト 」と呼びます。

マッシュタン内部

モルトを3種類に粉砕( グリスト )後、67℃ ~ 70℃の温水と合わせ、粥のようなペーストに近い状態にし、糖化をするための槽( マッシュタン )へ入れます。この槽 糖化酸素が反応しやすい65℃ほどに保ちながら絶えず機械で混ぜながら糖化を進めていきます。糖化が進むと同時に麦に含まれるたんぱく質もアミノ酸へと分解され、このアミノ酸もウィスキーの風味の特徴となります。

糖化を終えると、マッシュタンの底からこし出せるようになっているので、そこからこし出します。この一番初めに採取した麦汁( ばくじゅう )は一番麦汁と呼ばれ、約20%前後の糖度があります。 次に75℃前後の温水を上から入れさらに二番麦汁を採取します。この後の工程に使用するのは二番麦汁までで、三番麦汁、四番麦汁は次のマッシングに使用するために保存しておき、残った搾りかすは、栄養分が含まれているので、家畜に回します。

ウィスキーの製造 4・発酵

ウォッシュバック

マッシングで摂取した麦汁を「 ウォッシュバック 」と呼ばれる発酵をするための槽に移します。 このs槽は最低でも10,000リットル入る槽で、大容量のものでも100,000リットル入るものもあるそうです。木材を使用しているのには訳があり、木材に棲む微生物がウィスキーの風味をつくっているだからだそうです。

麦汁を移した後に酵母を添付しすると、炭酸ガスが発生し、そのままにしておくと槽からこぼれてしまう程ブクブクと泡立つので、この泡を潰すようにヘラで混ぜ続けます。酵母は糖を食べて増殖し、その糖がアルコールに変わり、その変わったアルコールによって酵母は死滅します。この時間がおよそ2日~3日かけて行われて発酵工程を終了し、アルコール度数7、8%程度のモロミが完成します。

ウィスキーの製造 5・蒸留

アルコール度数7、8%程度のモロミが完成した後、蒸留を行いアルコール度数を上げる作業です。
「 蒸留 」とは果実や穀物類を発酵し、その後で蒸留機で一度蒸発させそれらを凝縮し、液体に戻す作り方です。

ウィスキー製造で使われる蒸留器は、単式蒸留器と連続式蒸留器が使われている。 主にモルトウィスキー、アイリッシュ・ウィスキーは単式蒸留器が使われており、その中でもスコッチ・ウィスキーは必ず2回蒸留するのが基本となっています。 連続式蒸留器は主に、グレーン・ウィスキーやバーボン・ウィスキーを製造する際に使われます。
簡易的に言うと、単式蒸留器は蒸留回数が少ないため、原料などの風味が残りやすく、個性を出すのに向いています。 連続式蒸留器は、連続して効率よく蒸留するため、クリアなものを造るのと、大量生産に向いています。

ウィスキーの製造 6・熟成

蒸留が終わり、無色透明の蒸留酒が出来上がります。 この蒸留酒( ニューポットまたはニュー・メイク・スピリッツ )は風味などは荒々しく、アルコール度数も65% ~ 70% と高く刺激的なスピリッツです。

このニューポットを琥珀色のウィスキーに仕上げるために、樽に入れて熟成させます。 まずはニューポットに加水してアルコール度数を63%前後に下げます。 その後で樽に詰めて貯蔵庫で数年から長いものは数十年寝かします。

樽熟成には主に3っつの要素が個性を分けます。
1・樽の種類・・・・樽の種類もいくつかあり、材質、樽の経歴、大きさで質や風味が変わります。
2・土地や環境・・・木製の樽は金属系と違って貯蔵庫の外の環境が影響します。 気圧、気候などが基本としてあり、他にも海の近くであれば潮や海の香りなども影響します。
3・時間・・・・・・熟成と言えばやはり時間です。ただ熟成を長くすればそれだけ質が良くなるわけではなく、ウィスキーに限らずそのお酒にはそのお酒のピークがあり、それを過ぎると劣化し始めます。 ちなみにウィスキーはおよそ10年~20年がピークと言われています。

ウィスキーの製造 7・ブレンディング・ヴァッティング

ウィスキーの熟成を終えると、最後の仕上げの工程です。 樽から出されたウィスキーは、同じ貯蔵庫であっても樽ごとに風味などに違いがあり、同じ製品として出品することはできません。このバラバラな品種の原酒たちを同じ品質に整えたり、風味などを新たに加えたりする最終調整を行います。この作業を行う人のことを「 ブレンダー 」と言い、経験と知識を深く兼ね備えたまさにウィスキーの職人です。

その品質を整えたりする作業にはいくつかの種類があります。

  • ヴァッティング・・・品質を同じものに保つために、同じ蒸留所のいくつかの樽を合わせてバランスを整える手法。モルトであればモルトと合わせ、グレーンであればグレーンで合わすというのが特徴です。
  • ブレンディング・・・ヴァッティングが同じ樽同士を混ぜ合わせるのに対してブレンディングはモルトとグレーンを合わせるというあえて違う樽を合わせることが特徴で、この混ぜ合わせたものを「 ブレンデッド・ウィスキー 」と呼びます。
  • シングルカスク・・・品質を調整ぜず、一つの樽から出されたウィスキーのことで、あえて樽によって違う風味などを楽しむウィスキーです。

原酒のウィスキーをヴァッティング、ブレンディング工程を終えると再度原酒を樽に戻し、数カ月ほど熟成( 後熟こうじゅく )させる場合があります。 この工程により違う樽の原酒を合わせ、同じ樽で眠らすことにより、合わさった原酒を調和させることができます。

この工程にはウィスキー職人であるブレンダーの知識、経験、嗅覚、味覚が全てを決めると言っても過言ではありません。

そしてこのヴァッティング、ブレンディング工程や後熟を終えると、樽から出し不純物を取り除く作業を行います。
その後、一般的に加水をしてアルコール度数の調整を行い、ボトリングして完成となります。

まとめ

ウィスキーの個性は各国によって様々で、その個性を生んでいるポイントは5つあります。

  1. その土地の水
  2. 原料の穀物
  3. 乾燥に使われる泥炭( ピート )
  4. 蒸留器
  5. 使用する樽や貯蔵環境

が様々だからです。

ウィスキーは各国で風味や香りなどが異なります。 それはその土地の水、気候、自然を生かしているお酒だからです。 今回の製法をご紹介した項目を読んでいただければそれらがお分かりいただけたのではないかと思います。 そして自分好みのウィスキーを見つけるお手伝いとなれば幸いです。

ウィスキーには「 世界5大ウィスキー 」という5ヵ国のウィスキーがあります。 そしてその中にも様々なウィスキーがあります。 まずはその5大ウィスキーから選んでみてはいかがでしょうか?

  • ウィスキーの歴史は ⇒ コチラ
  • ウィスキーのカクテルレシピ一覧は ⇒ コチラ

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