レシピ
材 料
Recipe no.345
※ 1tsp = バースプーン1杯分の分量のこと
※ Full = 他の材料をグラスに入れ、Fullと記載している材料をグラスの8割~9割まで満たす適量のこと
作り方
グラスは炭酸が抜けにくい コリンズグラス をおすすめします。 他には コブレット、タンブラーグラスが使いやすいでしょう。
- Step 1 = シェーカーにラム、レモンジュース、砂糖、氷を入れます。
- Step 2 = しっかりと シェーク します。
- Step 3 = シェークした材料をグラスヘ注ぎます。
- Step 4 = 泡立たないように静かにジンジャーエールを入れます。
- Step 5 = ゆっくりと ビルド をして、レモンスライスを入れれば完成です。
アルコール度数 = 9% 前後
誕生・由来

ボストン・クーラーが生まれた物語は幾つかの諸説があり、真相は定かではないそうで、いくつかある諸説の中で有力なものが、アメリカ・デトロイトに「 ボストン通り 」という通りがあり、そこでジンジャーエールにバニラアイスを乗せたものを( 日本で言うクリームソーダ )販売していて、そのドリンクの名前がボストンクーラーであったことがキッカケと言われています。
ただこの時点でベースのラムは使われていません。 この後どうやってアルコール・ドリンクに変わったのかは不明です。
他にもアメリカにボストンから10kmほど離れた場所にメドフォードという街があり、そこで1700年代にはラムが製造されていたそうです。 その土地で製造されたラムを使い、レモンジュースや砂糖、ソーダを使ったカクテルが生まれ、その名前が「 メドフォード・ラム・サワー 」でした。 その後ボストンでも飲まれるようになり、1900年代に入ってすぐに最後のラム製造所はなくなり、ボストン・クーラーになった説もあります。
特徴・感想

レシピはとてもシンプルで、クリアさとアルコール感あるラムをベースに、酸味のレモンジュースと甘味の砂糖を加えシェークします、グラスヘ注いだ後に、辛味と甘味持つジンジャーエールを満たすレシピで、シンプルだからこそ何度でも飲める爽快感と飲みごたえを持ったクーラースタイルのカクテルです。
夏はもちろんピッタリですが、毎日飲む方もいるくらい飲みやすく、飽きません。 ラムベースの中でも代表的な存在であることは納得です。 飲んだ事がない人はぜひ一度お試しください。
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このカクテルで使う材料
ベースのお酒 ラム

世界4大スピリッツの一つのラム。4大スピリッツの中でも生産量は1位です。
カリブ海生まれが影響してか、カクテルにはトロピカルカクテルのレシピがたくさんあります。
ほのかな甘みのある飲みやすいスピリッツなので、カクテルのみならずケーキやタルトなどのデザート、紅茶の香りづけ、フレンチ料理などのに使われることも多く、お酒の消費ではジンやウォッカに劣りますが、使われているジャンルは他を圧倒します。
ラムの歴史

ラムの主原料はサトウキビ、生まれはカリブ海です。(一説によるとキューバが有力です。) 初めにラムを作った国は特定できていませんが、1600年代の17世紀には存在したようです。
しかしサトウキビはカリブ海では自生しません。 ではなぜラムが生まれたのか・・・
それは1500年頃にヨーロッパからサトウキビが持ち込まれたところ、気候などの環境がマッチしたため、カリブ海全域に広がり、島々が生産地となりました。要するにラムはヨーロッパ諸国の植民地が発祥ということです。
更にアメリカで作られたラムは、アフリカで黒人奴隷の代金として渡され、そこで交換された黒人が西インド諸島でサトウキビ栽培の労働となります。 この連動した貿易がラムを世界中に広めた原動力のひとつになりました。
ラムの定着
そして17世紀カリブ海と言えばパイレーツ・オブ・カリビアンで有名な海賊です。 海賊と言えば宝と酒!
カリブ海の海賊が飲んでいるのは、ほとんどがラムです。 海賊のみならずこの時代のカリブ海のお酒はラムが一番飲まれていました。
1700年代中盤にイギリス海軍は、海の上の娯楽や、士気を高めるためにラムを兵士に配りました。 カリブ海の海賊とこの海兵の飲みものとしてラムは海のイメージが強くなっていったのです。
第二次世界大戦の頃のアメリカは「 ジン 」が人気でしたが、イギリスとの関係が悪く、ジンを輸入できずにいました。 そのジンの代わりに広まったのが同じスピリッツであり、アメリカでも生産しているラムです。 こうしてラムはジンやウォッカに勝るとも劣らない存在になっていきました。
日本では20世紀になってから生産されています。 基本的には西日本が主な生産地で、サトウキビで有名な沖縄県や、鹿児島県、高知県などです。
ラムの製法

主な原料はサトウキビですが、ラムには2種類の製法があります。 「 インドストリアル製法 」と「 アグリコール製法 」です。
〚 インドストリアル製法 〛
インドストリアル製法の特徴は、サトウキビから砂糖を精製する際に出る副産物( 廃糖蜜 )を使用します。
この廃糖蜜を「 モラセス 」と言い、このモラセスを発酵させ蒸留し、オーク樽で貯蔵・熟成させます。
ラムの製法は2種類ありますが、世界中のラム総生産量の97%はこのインドストリアル製法です。 理由としてはモラレスは貯蔵しておくことで生産者のタイミングにラムを作ることができるためです。そのため1年中ラムの生産を行うことができます。そして貯蔵しておけるので製造地もサトウキビを栽培し、収穫できる土地に置かなくても良いというメリットがあります。
〚 アグリコール製法 〛
インドストリアル製法はモラセスを使うのに対し、アグリコール製法はしぼり汁をそのまま原料として製造します。 この製法は全世界のラム生産のおよそ3%程の生産量しかありません。
その理由はインドストリアル製法よりもずっと新しい製法であること、サトウキビは刈り取るとその瞬間から発酵が始まってしまうため、しぼり汁を使うこの製法は、サトウキビ栽培地の近くでないと生産できず、収穫時期以外生産できません。なので希少価値の高いラムです。
- ラムの歴史・原料・製法は ⇒ コチラ
ラムの種類

ラムの種類には重さで分けられる場合(ライトラム・ミディアムラム・ヘビーラム)と色で分けられる場合(ホワイトラム・ゴールドラム・ダークラム)があり、今回は色でご紹介をいたします。
〚 ホワイト・ラム 〛

- おすすめのホワイト・ラムは ⇒ コチラ
〚 ゴールド・ラム 〛
モラセスを発酵させ、連続式蒸留機で蒸留後に熟成させます。熟成用の樽も内面を焦がして香りづけをするウィスキーなどの樽とは異なり、内面を軽めに焦がした樽で熟成期間を短めにします。
熟成後のままの状態だと「 ゴールド・ラム 」、熟成後濾過したものを「 ホワイト・ラム 」と呼びます。
短期間ではありますが樽熟成を行っているので、ストレートやロックスタイルにも向いています。 ダーク・ラム程濃厚さはなく、ホワイト・ラムほどクリアさもないため非常に飲みやすいです。
ラム初心者の方は、ゴールド・ラムから飲むことをおすすめします。
Photo = ハバナクラブ Havana club

- おすすめのゴールド・ラム ⇒ コチラ
〚 ダーク・ラム 〛

ダーク・ラムの特徴は、内面を焦がした樽で熟成することで樽からの独特な香味成分が出て、濃い茶色になるのが特徴です。他にも様々なフレーバーを使ったり、カラメル着色などをしてコクと香りが強く甘みがあり、ウィスキーに近いスピリッツです。
ウィスキーのようなスピリッツであるため、ストレートやロックスタイルで飲まれることが多いですが、カクテルはもちろんのこと、その香りや甘みから料理や洋菓子に使われる幅広さもダーク・ラムの特徴です。
Photo = ロンサカパ Ron zacapa
- おすすめのダーク・ラムは ⇒ コチラ
カクテルの材料
ジンジャーエール

1837年~1901年のイギリス・ヴィクトリア朝時代、そんな時代の中でジンジャーエールの元となった「 ジンジャービール 」が飲まれていました。
1851年頃、アメリカ人外科医で薬屋を営んでいるトーマス・カントレルは、北アイルランド・ベルファストで、ジンジャーエールを初めて造りました。カントレルが誕生させたジンジャーエールは、色が濃く、甘く、ジンジャースパイスの香りが強いのが特徴でした。ジンジャーエールには「 ゴールデン・スタイル 」と 「ドライ・スタイル( ペールスタイル )」の2種類あり、カントレルが誕生させたのは、ゴールデンスタイルです。 その後、地元の飲料メーカーである「 グラッタン社 」で販売を開始したと伝えられています。
ドライ・ジンジャーエールは、カナダで誕生しました。薬剤師である「 ジョン・J・マクローリン 」は 1890年に炭酸水の瓶詰工場を設立し、1904年水に添加するフレーバーエキスに力を入れ始めました。 その際にペール・ドライ・ジンジャーエールの開発にも着手します。 そして1907年に「 カナダ・ドライ・ジンジャーエール 」を特許取得し販売しました。
- ジンジャーエールの歴史・主なブランドとカクテルレシピは ⇒ コチラ
シェーカーの使い方

シェーカーの利用目的は・・・
- 混ざりにくい材料( 比重が大きく違うお酒など、粉類、牛乳や生クリーム、鶏卵 )を混ぜる
- 材料を素早く冷却する
- アルコール度数の強いお酒をまろやかにする( お酒のカドをとる )
といった利用目的があります。 持論ではありますが、あと一つ牛乳や生クリームなどの材料を泡立たせることもできるので、泡立たせる利用目的もあると思います。
スリーピースシェーカー
〚 Step 1 = 蓋を閉める 〛

- ボディに材料や氷を入れる。( 氷はボディの 7割~8割くらいを目安に入れます )
- ボディにストレーナーを被せ、左手でストレーナーを押さえて左手の甲( 手首に近い辺り )を右手でトントンと叩きストレーナーを押さえる。( ストレーナーを直接叩くのはNG )
- トップをストレーナーに取り付ける。( 強く抑えず、キュッと入れ込む程度でOKです )
〚 Step 2 = 持ち方 〛


スリーピースタイプのシェーカーの持ち方です。
右利き用( 左利きの方は逆 )
- 左手 ・親指 = ストレーナーのくぼんだ場所 ( ストレーナーを押さえる役割 )
- ・人差し指 = ボディ
- ・中指 = ボディ底を押さえるように
- ・薬指 = ボディ( 振る際に下になる場所へ指を曲げて支える )
- 右手 ・親指 = トップを押さえるように
- ・人差し指 = ボディ
- ・中指 = ボディ
- ・薬指 = ボディ( 振る際に下になる場所へ指を曲げて支える )
特に持ち方に決まりがあるわけではありませんので、自分で持ちやすい持ち方で振れば良いと思います。ただシェーカーに手のひらを前面に付けてしまうと、手がかなり冷たくなりますし、材料の温度が下がりにくくなるため、シェーカーを持つ時には、面ではなく点で持つように心がけましょう。
〚 Step 3 = 振り方 〛

まずシェーカーは体の正面で振るのではなく、体から正面45℃に構えます。
- 上記の持ち方で、胸の前に持っていき、そこを中心として上前方へ斜めに押し出すように、そのまま胸に戻して、今度は下前方へと押し出すように振ります。 横から見るとひらがなの「 く 」の字を作るように振ります。
- 上前方、下前方へ出す際には手首を前下へ曲げるようにします。
- この動作を1セットとし、比較的混ざりやすい材料であれば 7~8セットあまり強く振らずにシェークを行います( 強く振ると、中の氷が砕けます )
混ざりにくい材料の場合は、12セットくらい、少し強めのシェークを行いましょう。
シェークの振り方は人それぞれなので、これらを参考にご自分の一番良い振り方を模索してください。 その際に、中の氷が8の字を描くように振りましょう。
〚 Step 4 = グラスヘ注ぐ 〛

- シェーク後、まずはトップを外します( 外しにくい場合は、ねじるように外します )
- ストレーナーとボディを片手で押さえます( 人差し指はストレーナー、中指をボディ )
- ストレーナーの先は網状になっているので( 上記写真 )、そこからグラスヘ注ぎます。
ツーピースシェーカー( ボストン・クーラー )
〚 Step 1 = 蓋を閉める 〛

まずはツーピースシェーカー( ボストン・シェーカー )の部位名称です。
小さい方が金属であれば「 ショート・ティン 」、ガラス製であれば「 パイント・グラス 」です。 ショート・ティン( パイント・グラス )に材料を入れ、ティンの方に氷を入れます。( 氷はティンの5 ~ 6割ほどを目安に入れます )
ショート・ティン( パイント・グラス )の材料を氷の入ったティンに入れて、ショート・ティンを被せます。真っすぐ差し込むのではなく、自分側にショート・ティンを寝かすようにはめ込み、自分側のティンとショート・ティンの縁が一直線に沿っているようにします。( 上記写真の様に立てると曲がったようになります )

ショート・ティンを被せたら、上から手のひら( 掌底 )でトントンと直接 2回ほど叩きます。 圧縮されて簡単には外れなくなります。
〚 Step 2 = 持ち方 〛

ツーピースシェーカーの持ち方は、スリーピースシェーカーよりも多彩にあります。
上記写真にあるように、スリーピースシェーカーよりも長いので、先端と先端を押さえることと、中の氷の動きを端から端まで動くように振れば問題ありません。 右手をショート・ティンの方を押さえて、左手の掌を上になるように、包み込むように持ちます。
〚 Step 3 = 振り方 〛
スリーピースシェーカーと同じ動きで振るようにしてもかまいません。 シェーカー自体が長いので、スピードを抑え気味で振ると端から端まで氷が移動し、材料が混ざるので、そこをポイントとして振りましょう。
振るモーションもスリーピースシェーカーより大きく振ると自然とスピードも落ち、良く混ざるようになります。

〚 Step 4 = グラスへ注ぐ 〛

- まず左手でツーピースシェーカーを縦にして持ちます。( この時ショート・ティンが上に来るように持ちます )
- 左手の中指と人差し指で、ショート・ティンを右へ押すように持ちます。
- 右手の手のひら( 掌底 )でティンの方を軽く叩きます。( 1回でショート・ティンが外れない場合は2回叩きましょう )

左の写真にあるように、ティンにストレーナーを装着し、グラスヘシェークした材料を注ぎます。
フレッシュフルーツなどを材料で使用した場合は、2つ上の写真のあるように、小さい手ざるを使います。( 種など細かい余分なものをグラスヘ入れないようにするためで、スリーピースシェーカーの場合に使用する場合もあります )
- シェーカーについて詳しくは ⇒ コチラ
ビルドとは?

材料をグラスに入れて混ぜることを言います。 この「 混ぜる 」にはいくつか種類があり、今回のカクテルには「 ビルド 」を使用します。
お家で簡単人向け
バースプーンやマドラーをグラスの内側に沿って底まで入れます。 グラスに当てたままクルクル回します。 炭酸系を使っている場合は、早く混ぜると炭酸が膨れてこぼれてしまうだけでなく、炭酸自体も抜けてしまうのでゆっくり回すように注意しましょう。
本格的にやってみたい人向け

Step 1 = まず左手はグラスの底を押さえます(ドリンクを体温で温めないため)右手はバースプーンを持ちます。(左利きの人は逆になります)
Step 2 = バースプーンを左の写真にあるように中指と薬指の間に挟みます。
Step 3 = 親指と人差し指もバースプーンを挟んで持ちますが、この2本の役割は、落とさないようにするためだけのものなので軽く持ちましょう。
Step 4 = バースプーンの背中をグラスの内側の縁に沿って底へ持っていきます。
Step 5 = 自分の体より向こう側へ回す際は薬指で左回りに押すように持っていき、自分の体側に戻す際は右周りに中指で引き戻すようにバースプーンを移動させます。 この時にバースプーンの背中は常にグラスの外側へ向いています。
この動作の繰り返しになります。 最初は難しいと思うので、大きめのグラスに氷のみで練習すると良いでしょう。 慣れると便利なので、ぜひマスターしてください。
- バースプーンの詳しい使い方は ⇒ コチラ
カクテルスタイル
クーラー Cooler

- カクテルスタイル 紹介ページは ⇒ コチラ
このカクテルのおすすめ グラス
コリンズグラス Collins glass

背の高い円柱形の細いグラス。 別名トールグラス・チムニーグラスとも呼ばれます。
カクテル「 ジョン・コリンズ 」が名前の由来で、細長いのは、炭酸を抜けにくくするためにこの形になっている。
容量 270ml ~ 360mlくらいが一般的。
コブレット Coblet
コブレットとはグラスに土台と足が付いた杯の事です。
シャンパングラス、カクテル・グラス、ワイングラスと違い足が短い上に内容量も多く入るので、日常で使う事も出来ます。
氷をたっぷり使うカクテル、またはビールなどのカクテルを飲む際に使用する。
300mlが一般標準サイズ。

タンブラーグラス Tumbler glass

カクテルグラスの中でも最も一般的に使われているグラスです。
タンブラーとは「 倒れるもの 」や「 転ぶもの 」の意味があり、元々獣を狩り、残った角等をくり抜きコップにしたことからこの名前が付いたそうです。
容量は他のグラスよりも種類が多く、180ml~300mlが一般的に使われています。
- グラス紹介ページは ⇒ コチラ