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ラムベースのモヒートを飲むと、まさにカリブ海の陽ざしそのものの味わいがします。けれど、その原料のサトウキビは、実はカリブ海原産ではありません。
ヨーロッパの植民者たちが持ち込んだもので、そこから造られたラムは、のちにカリブ海のプランテーションを支えた過酷な奴隷貿易の道具にもなりました。
現在のラムのおよそ97%は、どこでも造れる糖蜜由来の製法で造られています。一方、わずか3%ほどの希少なアグリコール製法は、搾りたてのサトウキビの汁を使うため、産地でしか造ることができません。
すっきりとしたホワイトから、ウイスキーのように深いダークまで、一つのお酒に何世紀もの歴史が詰まっています。今夜、そのグラスの中に眠る歴史ごと、味わってみてください。
ラムの歴史

ラムの誕生
ラムの物語は、カリブ海のサトウキビから始まります。どの国が最初にラムを造ったのかは特定されていませんが、最も古い記録は1650年頃のバルバドス島にさかのぼります。
当時は「キル・デビル(悪魔殺し)」や「ランバリオン」といった荒々しい名前で呼ばれていました。1667年頃までには、「ラム」という呼び名が定着していたようです。
実は、サトウキビはカリブ海に自生していた植物ではありません。1500年前後にヨーロッパの植民地勢力が持ち込んだもので、栽培に適した気候だったことから、またたく間に島々へ広がり、一大産地となりました。
さらに、西インド諸島のサトウキビから作られた糖蜜はアメリカの植民地へ運ばれ、そこでラムに蒸留されました。そのラムは西アフリカで奴隷と交換され、連れてこられた人々はカリブ海のサトウキビ畑で強制的に働かされます。
この過酷な三角貿易のサイクルが、ラムを世界中に広める原動力のひとつになりました。
ラムの定着
17世紀のカリブ海といえば、映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』でもおなじみの海賊の時代です。そして海賊のいるところには、必ずラムがありました。
海賊たちが飲んでいたのは、ほとんどがラムです。海賊に限らず、この時代のカリブ海では、ラムが最もよく飲まれるお酒でした。
1700年代には、イギリス海軍が水兵にラムを配給するようになります。士気を高めるためであり、船の上でのささやかな楽しみでもありました。
海賊と海軍、この二つの存在によって、ラムは「海のお酒」というイメージを強めていきました。
第二次世界大戦中のアメリカでは、ウイスキーの蒸留所が戦争のための工業用アルコールの生産に回され、海上輸送の混乱でジンをはじめとする輸入酒も手に入りにくくなりました。
その穴を埋めたのが、近くのカリブ海で造られ、手に入れやすかったラムです。こうしてラムは、ジンやウォッカに勝るとも劣らない存在へと成長していきました。
日本でラムが造られるようになったのは20世紀に入ってからです。主な産地は西日本で、特にサトウキビで知られる沖縄県、鹿児島県、高知県などが中心です。
原料・製法

ラムの製法には、「インダストリアル製法」と「アグリコール製法」の2種類があります。
インドストリアル製法
インダストリアル製法では、サトウキビから砂糖を精製したあとに残る「モラセス(廃糖蜜)」を原料にします。このモラセスを発酵・蒸留し、オーク樽で貯蔵・熟成させます。
世界のラムの総生産量のうち、およそ97%がこの製法で造られています。その大きな理由は、モラセスが保存のきく原料だからです。
収穫の時期に縛られず、造り手の都合に合わせて一年中ラムを造ることができます。また、モラセスは運ぶこともできるので、サトウキビ畑から離れた場所に蒸留所があっても製造できます。
アグリコール製法
インダストリアル製法がモラセスを使うのに対し、アグリコール製法は、搾りたてのサトウキビの汁をそのまま原料にします。
この製法で造られるラムは、世界のラム生産量のわずか3%ほどです。インダストリアル製法よりもずっと新しい製法であることに加え、サトウキビは刈り取った瞬間から発酵が始まってしまうため、栽培地の近くで、しかも収穫期にしか造ることができません。
この限られた時期と場所こそが、アグリコール製法のラムを希少で特別なものにしているのです。
ラムの種類
ラムは、重さ(ライト・ミディアム・ヘビー)で分ける方法と、色(ホワイト・ゴールド・ダーク)で分ける方法があります。ここでは、色による分類をご紹介します。
ホワイト ラム White Rum

ホワイトラムは、ゴールドラムと同じく、モラセスを発酵させて連続式蒸留機で蒸留するところから始まります。その後、ステンレスタンクなどで短く休ませてから瓶詰めするものもあれば、オーク樽で短期間熟成させたあと、活性炭で濾過して色を取り除くものも多くあります。
どちらの場合も、仕上がりは透明で軽く、なめらかな口当たりです。ほかの材料とよくなじむため、カクテルの定番として使われています。
ゴールド ラム Gold Rum

ゴールドラムは、ホワイトラムとは違い、樽熟成で付いた色をそのまま残したラムです。造り手によっては、カラメルで色合いを整えることもあります。
短期間とはいえ樽で熟成させているので、ストレートやロックでも楽しめます。ダークラムほどの濃厚さはなく、ホワイトラムほどのクリアさもありませんが、爽やかさと芳醇さのバランスがよく、なめらかで飲みやすいのが魅力です。
- おすすめのゴールド・ラム ⇒ コチラ
ダーク ラム Dark Rum

ダークラムの特徴は、内側を焦がしたオーク樽で熟成させることで生まれます。樽から独特の香味成分が溶け出し、深い茶色に色づくのです。
さらに、多くのダークラムはフレーバーやカラメル着色を加えて、甘み、コク、香りを強めています。そのため、ウイスキーに近い性格のスピリッツになります。
ウイスキーのような味わいから、ストレートやロックで飲まれることが多いラムです。カクテルはもちろん、その豊かな香りと甘みを生かして、料理や洋菓子に使われることもよくあります。
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ロングカクテル

甘い風味とスピリッツ特有の飲みごたえのホワイトラムを、フルーティーな甘味が特徴的なオレンジジュースで割るレシピで、飲みやすさはもちろん、果実感あふれる爽やかな甘味と、ラムの風味を楽しめるカクテルです。

1984年ロサンゼルス・オリンピックの公式カクテルオフィシャルドリンクに選ばれたカクテル。パイナップルジュースとココナッツクリームの組み合わせが、南国のリゾートを思わせるトロピカルな風味を提供します。

ラムバック
ジンジャーエールの甘さとスパイシーな香りが広がり、その後にライムの爽やかな酸味が続きます。ラムの滑らかなコクが全体を包み込み、バランスの取れた味わいを楽しめます。
ショートカクテル
X・Y・Z
ラムのほんのり甘い風味と柑橘系の爽やかな酸味が特徴のカクテルです。トリプルセックのオレンジの香りが全体をまとめ、バランスの取れた味わいを楽しむことができます。酸味と甘味のバランスが心地よく、食前酒としても適しています。

スカイダイビング
最初にライムのさっぱりとした酸味が舌を刺激し、次にブルーキュラソーの柑橘系の甘味が広がります。最後にラムの柔らかくも力強いコクが余韻を残し、飲むたびに新たな発見があるような奥深い味わいです。

バカルディ

フローズンダイキリ
最初に感じるのはライムの鮮烈な酸味。それがシュガーシロップのほのかな甘味と絶妙に絡み合い、ホワイトラムのまろやかなコクが後味に広がります。シャーベット状のひんやりとした口当たりが心地よく、夏の日差しの下で特に美味しく感じられるカクテルです。
- ラムベースのカクテルは ⇒ コチラ
まとめ

カリブ海のサトウキビ農園という暗い起源から、カクテル文化を支える存在へ。ラムは、一杯のグラスに何世紀もの歴史を宿しています。
製法は、モラセスを使う広く普及したインダストリアル製法と、搾りたてのサトウキビの汁を使う希少なアグリコール製法の二つに分かれます。色も、すっきりとしたホワイトから、ウイスキーのように濃厚なダークまで幅広く、どんな人にも好みの一本が見つかるはずです。
モヒートをシェイクするときも、ダークラムをストレートで味わうときも、少しだけその歴史に思いを馳せてみてください。いろいろなスタイルを飲み比べて、自分の舌に合う一本を探してみるのも、ラムの楽しみ方のひとつです。











