テキーラの歴史・製法・原料・種類・主なカクテルを紹介|カクテルのお酒・スピリッツ編

世界4大スピリッツの一つのテキーラは他のジンウォッカラム程の生産量はありません。理由としてはシャンパーニュ地方で生産されているシャンパンと同じく原産地呼称が認められているお酒です。つまり認められた地域での生産でなければ「 テキーラ 」と呼ぶことはできません( メキシコ国内の定められた5州のみ )。これが他のスピリッツとの違いで、生産量が他の3種よりも少ない理由です。

しかし世界的に飲まれているお酒であることには変わらず、カクテルレシピも多くあり、その中でも「 テキーラ・サンライズ 」・「 マルガリータ 」が有名です。

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テキーラの歴史

テキーラの誕生 

テキーラの原型は、メキシコ古代アステカから存在するアガヴェ( 竜舌蘭 )発酵させた醸造酒 「 プルケ 」がベースになっています。

15世紀~17世紀にかけてスペインがアメリカ大陸を植民地にしていた時代(コンキスタドール)にテキーラは誕生しました。

きっかけは、メキシコ中西部にあるハリスコ州サンティアゴ・デ・テキーラという町の近くにある、シエラマドレ山脈で大規模な山火事がありました。 焼け野原になった山を歩くと、焦げた竜舌蘭がゴロゴロと転がっており、辺り一面甘い香りと焦げた竜舌蘭をかじっているハツカネズミがいました、山火事の熱が竜舌蘭から砂糖を作り出すことをテキーラの町人が発見しました。

そしてそれを知ったスペイン人は蒸留技術を持ち込み、 「 プルケ 」を蒸留し、スピリッツを作りました。 この竜舌蘭を使ったお酒を「 メスカル 」と呼びます。

テキーラとメスカルには大きな違いは無く、テキーラとは200種類以上あると言われるメスカルというお酒の中の一種で、サンティアゴ・デ・テキーラで栽培されているアガベ・アスール・テキラーナという竜舌蘭を使用したものをテキーラと呼びます。 よって現在でも竜舌蘭から作ったお酒は「 メスカル 」と呼ばれています。

1600年には初めてのテキーラ工場が建てられ、1870年代にはヨーロッパへ出荷されています。

テキーラの定着

テキーラは今でこそ世界4大スピリッツに数えられていますが、生まれてから長い間「 地酒 」の領域を出ずにいました。 最初に世界に知れたのは1893年にアメリカ・シカゴで行われた鑑評会でテキーラ産のメスカルブランデーが受賞、次に1910年にアメリカ・テキサス州の大会では「 テキーラ・ワイン 」として受賞しました。

テキーラが大きな注目を集めたのは1949年の全米カクテルコンペティションで「 マルガリータ 」が入選し、テキーラが大きく注目されるだけでなく、テキーラベースのカクテルもこれをキッカケに増えていきます。 そして1968年開催のメキシコオリンピックで世界中の人たちがメキシコに訪れると、メキシコの文化と共にテキーラは世界に広く知られるようになりました。

その後世界各地にテキーラが広まりましたが、模造品が目立つようになりました。 模造品は質が悪いものが多く、テキーラのイメージや品格が悪くなる事を恐れたテキーラ製造会社達は、1974年メキシコ政府に規制を作るよう働きかけます。 しかし200種類もあるメスカルの一種であるテキーラに、規定基準を設けるのには難問が多く、規定を完成させるまで20年という時間がかかりました。

こうして1994年にテキーラ商工会議所( CRT = Consejo Regulador del Tequila A.C. )主導の下、生産過程全般の規制管理が完成し、違反者には法的措置を取れるようになりました。

そしてテキーラは 原産地呼称が与えられ、メスカルから独立したような形になったのです。

テキーラの規制は次の通り

  1. 主原料はアガベ・テキラーナ・ウェベル・バリエダ・アスル( 全て竜舌蘭の名前 )に限られる。
  2. 主原料の割合が51%以上でなければならない。
  3. 竜舌蘭の生育は、ハリスコ州・グアナフアト州・ナヤリ州・ミチョアカン州・タマウリパス州でなければならない。
  4. テキーラ村とその周辺地域で蒸留されたものに限る。
  5. 最低2回の蒸留を行うこと。
  6. メタノールの値は3mg/ml以下でなくてはならない。
  7. アルコール度数は、35%~55%以内に収めること。
  8. 水以外の添加物は1%以下で抑えること。
  9. NOMナンバー( 4桁の蒸留所番号 )をラベルに表記すること。

原料・製法

収穫まで

テキーラの主原料であるアガヴェ( 竜舌蘭 )の実物を見たことがある人は日本ではおそらくあまりいないと思われます。(実際僕も見たことがありません)それは海抜600m~1,800mの標高と平均気温20℃、晴天日数が250日以上は必要という限られた土地でしか栽培できません。さらに苗を植えてから収穫まで6年以上、長いもので12年の月日がかかるため維持管理も大変です。 上記の写真を見てわかる通り実物は大きく直径70cmから1mを超えるものまであり、重さも30kg~40kgあります。

茶畑に似た丘陵地で雨季の始まる6月頃に植えられ、そこから6年~8年後に収穫します。

成長した球茎の皮を「 コア 」という長い棒の先に円形の刃を付けた道具を使って硬い葉や、厚い皮をそぎ落とします( 上記写真で使用している道具 )

製 法

蒸留所に運び込まれたアガヴェはデンプンを糖分に変えるために加熱を行います。蒸気圧力釜を使ったり、石造りのオーブンで加熱します。

加熱工程を終えたアガヴェは、その後ローラーで砕き・加水・圧縮を行い糖分を十分に絞り出し、その搾り出した液体を発酵させ、2回以上蒸留します( メスカルの蒸留回数は1回ですが、テキーラは必ず2回以上行います )

テキーラの種類

テキーラの種類は、まず原料のであるアガヴェの使用パーセントによって大きく2つに分けられます。

  • アガヴェを51%以上使用したテキーラ。 日本はこちらのタイプが大半を占めています。 爽やかさと、独特な甘みが特徴です。
  • アガヴェを100%使用したテキーラ。 別名「 プレミアムテキーラ 」と呼ばれたりもします。 見分けるのは瓶にのラベルに「 100% DE AGAVE 」等の記載があります。香りとアガヴェの特有の風味が51%以上のものと大きく違います。

テキーラは熟成期間によってカテゴリー分けもされています。

ブランコ Blanco

熟成別で銘柄をご紹介します。色は無色透明、熟成期間は全く行わないものから、2か月ほどです。 ラベルには「 シルバー 」や「 プラタ 」という表記を用います。

熟成を行わない( もしくは短い期間の熟成 )ので、爽やかさとシトラスのような香り、アガヴェ本来の香りが楽しめます。

カクテルに使用しているテキーラはほとんどがブランコです。

Photo = エラドゥーラ・プラタ Herradura

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レポサド Reposado 

Reposado = 「 安らかな、平静な 」という意味で、短い期間休ませるという意味があります。

名前の通り 2か月~1年未満熟成させたテキーラです。 色は無色透明にほんの少しゴールドが入った色合いです。

樽の香りとコクがブランコに少し加わり、ほのかな甘みが味わい深くなっていて、甘みと辛みのバランスがとれた味わいです。

Photo = Photo = オルメカ Olmeca

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アネホ ANEJO 

Anejo = 「年、熟成 」の意味です。 その名の通り1年~3年以上しっかりと熟成させたテキーラで、色もウィスキーに使い色になっています。

アネホから樽にも規制があり、600ml以上の樽を使用しないとアネホとして認められません。

バニラやキャラメルのような樽の風味が強く、アガヴェに強い香りを付けたテキーラでウィスキーに近い存在になっています。

別名 「 プレミアム・テキーラ 」とも呼ばれます。

Photo = ドン・フリオ Don julio

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テキーラベースの主なカクテル ~ ロングスタイル編 ~

アイスブレーカー・・・アルコール度数がちょっと強めのグレープフルーツジュースで割ったカクテル。

カクタス・バンガー・・・いくつかあるテキーラ&オレンジジュースの一つで、テキーラとオレンジジュースにガリアーノが加わったカクテル。

ストローハット・・・クセのあるテキーラにトマトジュースを加えたカクテル。 「 トマトジュースはテキーラと合うんだ 」と思わせてくれるカクテルです。

テキーラ・サンライズ・・・テキーラベース、ロングカクテルの中で最も有名なカクテル。テキーラ&オレンジジュースにグレナデンシロップを沈めた様は、朝焼けをイメージして作られたそうです。

テコニック・・・テキーラの独特な風味に、苦みのあるトニックウォーターで割り、酸味のライムを加えたレシピで、ジントニックと同様に飽きがきにくく、飲みやすいカクテルです。

デュランゴ・・・独特な香りのテキーラをベースに、酸味と苦みのグレープフルーツジュースを加えてソーダで割ったレシピで、杏の核を使ったアーモンドの香りを持つアマレットを、隠し味的存在に加えたカクテルです。 

マタドール・・・やや甘口でパイナップルジュースのフルーティーさの中にテキーラを感じられる飲み口の良いカクテルです。 パイナップルジュース甘味とライムジュースの酸味のバランスの良さもあり、クセになりやすい一品です。

メキシカン・エル・ディアブロ・・・アガヴェの独特な香りを持つテキーラをベースに、フルーティーな甘味と酸味を持つクレームドカシスと、酸味のレモンジュースを加え、ジンジャーエールで割ったレシピで、独特な香りを感じながら、甘酸っぱさとジンジャーエールの喉越しを楽しめる一品です。

メキシコーラ・・・アガヴェの独特な香りと風味に、コーラの爽快感と甘味がマッチしたカクテルで、テキーラの刺激的な辛味をコーラの甘味がマイルドにし、テキーラを飲みやすく、味わい深くした一品です。

テキーラベースの主なカクテル ~ ショートスタイル編 ~

エクソシスト・・・ブルーキュラソーが入った美しいカクテル。上記の写真はまさにそのカクテル。

コンチータ・・・独特な香りを持つテキーラをベースに、酸味と苦みや甘みを併せ持つグレープフルーツジュース、酸味をさらに足すレモンジュースを加えたフルーティー感とサッパリとした後味が良いことが特徴のカクテルです。

サンライズ・・・独特な香りのテキーラをベースに、バナナとアニスとハーブがほんのりと香り、それらを生クリームで包み込んだ味わい。 複雑な味わいではあるが、奥深い味わいでもある。

シクラメン・・・テキーラの独特な風味に少しの酸味、オレンジのフルーティーを同時に感じられ、最後にグレナデンシロップの甘みを感じるカクテル

テキーニ・・・クリアで高いアルコール度数の飲みごたえと、辛口さのマティーニと同じ要素に、テキーラの風味を加えているのが特徴です。

テキーラ・カクテル・・・テキーラの香りを感じながら、ライムジュースの酸味とテキーラのガツンとくるアルコール感と微量の甘みと香りを感じながら楽しむカクテルです。

ブロードウェイ・サースト・・・テキーラに、オレンジジュースとレモンジュースを加えたレシピで、ショートカクテルの中ではアルコールは高くないため、飲みやすく、テキーラのクセをオレンジで緩和しているため、万人受けもするカクテルです。

マルガリータ・・・テキーラベース、ショートスタイルの中で最も有名なカクテル。 テキーラを世界に広めた原動力にもなった定番カクテル。

ラ・ルメール

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著:サラ・ボーウェン, 翻訳:小澤卓也, 翻訳:立川ジェームズ, 翻訳:中島 梓