リキュール( 混成酒 )について
大航海時代が始まると、様々な国の果物、スパイスが輸入、輸出されるようになり、リキュールは幅広く発展していきました。リキュールが盛んに使われた中世のヨーロッパ時期、貴族達が集うパーティーで、貴婦人達が着ている華やかなドレスや宝石などの色に合わせて作られたカクテルを飲んでいたそうです。
現在でも果実ベース、ハーブやスパイスベースといった様々なリキュールが生まれています。ちなみに古くからある日本のリキュールと言えば、みりんと梅酒です。 本来みりんは米のリキュールで、戦国時代辺りでは甘いお酒として飲まれていました。現在では調味料の枠に入ってしまっていて、飲めるような味ではありません。他の日本産リキュールは柚子、みかん、抹茶、さくらさどが売られています。
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カンパリとは?
Photo|イタリア・ミラノの街並み
「 カンパリ Campari 」とは、イタリア・ミラノで生まれた様々なハーブやスパイスから作り出されたハーブ & ビター 系のリキュールです。非常に複雑な風味を持ち、最大の特徴は「 サッパリとした苦味 」で、食前酒にとても向いています。
何も知らずに初めて口にする人は、苦手意識を持つかもしれませんが、その苦味がクセになり、そのままロックスタイルで飲む人も多くいるほどです。見た目は美しい赤色をしていて、その赤色を活かしたカクテルも存在しています。
ハーブの香りに苦味、ほんのりと感じられる甘味がそのままでも飲むことができ、オレンジジュースなどの果汁系、ソーダやトニックウォーターなどの炭酸類と割っても美味しく飲める幅広さも持ち合わせています。
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カンパリの歴史
カンパリの誕生
Photo|ガスパーレ・カンパリ氏
カンパリは1860年「 ガスパーレ・カンパリ 」氏によって開発されました。カンパリの誕生はガスパーレ氏の探求心と努力によって生まれ、彼の人生そのものと言っても過言ではない存在です。
1842年ガスパーレは14歳という若さでトリノにある酒場で見習いとして働き、そこでお酒の知識を身に付けます。そして地元ノヴァラに帰りカフェ経営を始め、1860年にミラノへ進出。 そこではカフェだけではなく、お酒の販売も同時に行うようになり、そこで自家製リキュールを開発します。
そのリキュールが後の「 カンパリ 」で、当時は「 ビッテル・アルーソ・ドランディア( オランダ風苦味酒 )」と名付け販売していました。
ガスパーレの商売は繁盛し、1867年に近くのアーケード街である ヴィットリオ・エマヌエレ通りで「 カフェ・カンパリ 」を始めます。 そこでカンパリのオリジナルリキュールが人気商品となり、イタリア国王ウンベルト1世、イギリス国王エドワード7世も訪れるという名店となりました。
世界へ販売
Photo|小瓶のカンパリソーダ
その後1882年にガスパーレ・カンパリが死去すると、次男である「 ダヴィデ 」が後を継ぎ、製造業が大きく需要を迎えると1904年に自社工場を設立させ、長かった名前を家名である「 カンパリ 」に改名し、フランス、スイスなどの国外に輸出するという販売に力を注ぎます。
その後さらに販売地域を拡大させるべく、イタリア移民が多いアメリカにも輸出を行い、それを成功させると、地元であるイタリア国内での地位を確立させるべく、小瓶にカンパリソーダを入れカクテルそのものを販売するといった新しい事業を行いました。 これが飛ぶように売れ、イタリア国内と欧州、そしてアメリカでカンパリの現在の地位を確立させました。
2大カクテルと新しい広告
1920年頃に、カンパリのカクテルで最も有名な2大看板になっている「 ネグローニ 」と「 アメリカーノ 」が誕生します。国際バーテンダー協会が「 不滅のドリンク 」にリストアップするほど完成度の高いカクテルとして、世界中でさらにカンパリが飲まれるようになりました。
この二つのカクテルは、2015年から行われている世界クラシックカクテル・セールスランキング50に、毎年選出されているほど世界中で人気のカクテルです。特にネグローニは毎年1位か2位で選出されているほど世界のスタンダードカクテルです。
その同じ時期に、「 広告 」という新しい時代を迎えます。この頃からカンパリは、ただ製造して売るのみではなく、様々な芸術家とコラボをして様々な作品( 広告ポスター )を世に送り出しています。第一次世界大戦などの影響で閉鎖を余儀なくされた時期もありましたが、時代が変わるにつれてカンパリのレッドパッションは、製造と広告という二つのもので世界中に表現され、人々や業界に強い印象を残します。
1980年代になると、カンパリはポスターなどの「 絵 」から、映画や芸能とのコラボレーションが多くなってきます。 世界的に有名な俳優や女優を起用し、1990年にはインドの有名な映画監督「 ターセム 」によるコマーシャルが制作され、大きな話題を呼びました。2001年にはカンパリ独自のカレンダーが発売。 有名な写真家と女優などを起用したカレンダーは大きな話題を呼んでいます。
現在はベルモットのチンザノと、ウォッカのスカイウォッカを傘下に収め、「 カンパリ・グループ 」として酒造業界の一大グループとなっています。そして変わらない風味とレッドパッションを伝統として、カンパリは現在も継続しています。
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カンパリの味わい・製造
カンパリは最初に製造したときからレシピは150年たった現在まで全く変わらずに受け継がれており、その製法や原料は、少し知られていますが、詳細や全貌などはトップシークレットとして、現在も公表されておりません。
キャラウェイ、カルダモン、コリアンダー、オレンジピールなどが主原料だと言われています。原料は全部で60種類以上あり、その製法や分量など、数少ない製造責任者のみ知られていて、詳細は公開されていません。 正式に判明しているのは、「 水 」、「 アルコール 」のみです。
しかし専門家の分析や官能検査によって、ビター・オレンジ果皮、キャラウェイ、コリアンダー、カルダモン、シナモン、ナツメグなどの約30種類以上のハーブやスパイス類を使用し、それらを100℃でに出した後、中性スピリッツを加えアルコール度数69度で15日間タンクで熟成させます。 これに水、砂糖、アルコール、天然色素を加え、更に1カ月熟成させ濾過をしてボトリングされるということが判明しています。
関連記事紹介
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〚 他のカクテル レシピリスト 〛
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カンパリの主なカクテル
ロング スタイル Long style
カンパリオレンジ
カンパリ特有の柑橘やハーブの香りが前面に広がり、ビターな風味がオレンジジュースの自然な甘味で包み込まれています。一口飲むごとにほろ苦さとフルーティーな爽やかさが交互に楽しめる、絶妙なバランスが魅力です。
カンパリソーダ
ほろ苦い風味が前面に出た一品。炭酸水の爽やかな泡立ちが口の中を軽くし、後味には柑橘系やハーブの繊細な香りが広がります。甘さが抑えられているため、スッキリとした飲み口で食事前の一杯として最適です。
ナイト・オブ・レッド
ホットカンパリ
温めることでカンパリのビターな風味がまろやかになり、ほのかなハーブや果実の香りが引き立ちます。甘味を加えることで、苦味とのバランスが取れ、温かいフルーツティーのような風味が楽しめます。
レッド・スパークル
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ショート スタイル Short style
オールドパル
フロート状にしているのは、一口飲むたびに味の変化を楽しむためです。 一口目はロックスタイルを飲んでいるようにウイスキーを楽しみ、二口目からは飲むたびにミネラルウォーターの量が少しづつ増えていきます。
ベースのお酒はジンですが、飲んでみるとカンパリの苦味と香りが前面に出ており、カンパリとの相性が良いスイートベルモットの甘味がカンパリを後押ししていて、その全体を文字通りジンが土台となっているカクテルです。
チャーリー・パイ
フラミンゴ