カクテルにはスピリッツやリキュール、ウィスキー、ブランデー、ワイン、日本酒などといったいわゆる「 お酒 」以外にも様々な材料があります。 ソーダやジンジャーエールといった炭酸が入っているもの、オレンジジュースやグレープフルーツジュースなどの果汁のもの、シュガーシロップやグレナデンシロップのように甘みや香りを加えるもの、カクテルを彩るために飾られるマラスキーノチェリーなどたくさんあります。
それらはどのような原料・製法なのか、どのように使われているのかをご紹介します。今回はカクテルの割り材料としてよく使うトニックウォーターです。
トニックウォーターの歴史・誕生

キナの樹皮
トニックウォーターの誕生は18世紀イギリスと言われています。 当時イギリスは多くの植民地を保有していました、イギリスから遠く離れたその熱帯地方ではマラリアが発生し、その予防( 特効薬 )として目を付けたのが「 キナの樹皮 」でした。 これは南米アンデス山脈に自生する植物であり、そこの原住民はその樹皮を解熱剤として使用していました。 そのキナの樹皮を精製した成分をキニーネと呼び、そのキニーネ、香草、レモンやライムなどの果皮のエキス、そして炭酸水に混ぜ合わせました。 こうしてできたのがイギリスで最古の清涼飲料水トニックウォーターです、トニックウォーターの独特の苦みは、このキニーネが元になっています。キニーネはその後第二次世界大戦頃までマラリアの特効薬として重宝されました。
その後イギリスの将校らが自国のジンとキニーネの予防飲料水を一緒に飲むようになり、ジントニックが誕生したと言われています。

元イギリス首相ウィンストン・チャーチル像
1840年頃には、イギリスのみで年間700トンものキナの樹皮が消費されており、第二次世界大戦中のイギリス首相ウィンストン・チャーチルは、「 ジントニックは英国全ての医師よりイギリス人の命と心を救った 」と評したそうです。
元々トニックウォーターは薬としての役割のため、美味しく飲むといった風潮は無く、キニーネの苦みが強いまま飲まれていましたが、次第にキニーネの使用量が減り、香料や甘味料が使われ、薬から飲料へと変貌していきました。現在では微量のキニーネと香料を使用した製品が大半で、アメリカでは食品医薬品局により、キニーネの使用量は83ppm以下であることが表記と共に義務付けられています。
現在日本でキニーネは劇薬に指定されているため、食品添加物として認められておらず、日本向けのトニックウォーターは、キニーネが添加されていません。 しかし本国イギリスのキニーネが添加されているトニックウォーターと日本のトニックウォーターは味比べをしても、さほどの違いは無いそうです。トニックウォーターは蒸留酒との相性が良く、独特の苦み爽やかな風味は、どのお酒にも合います。
しかしここ最近でようやくキニーネが添加されたトニックウォーターが日本でも販売されるようになったそうです。興味がある方はぜひお試しください。
トニックウォーターの主なブランド
フィーバーツリー・プレミアム Fever tree premium

様々な飲料メーカーがトニックウォーターにこだわり始めたキッカケとなったのが、このフィーバーツリー社のトニックウォーターです。 人工甘味料は使わずキナも厳選されたものを使い、ジントニックをつくるためにつくられたトニックウォーターです。 日本には2012年に輸入されると、多くのBARで本格的なジントニックを提供するために使われています。 味はしっかりとした苦みと多少の甘みがあり、炭酸はきめ細かく、スッキリと飲むことができるのが特徴です。
サントリー Suntory
強めの炭酸の後にほどよい甘さがあり、鋭い苦みが口の中に残ります。
普段から飲めるスタンダード型のトニックウォーターです。しっかりめで、ジントニックに合います。

神戸居留地 Kobe foreign settlement

1923年( 大正12年 )に創業した日本の老舗商品会社である富永貿易株式会社の中の一つのブランドです。
神戸居留地は主に飲料を扱い、カクテルの割り材として必要不可欠なソーダ、ジンジャーエール、トニックウォーターを扱い、どれもが小さい缶でリーズナブルに、そして高品質で販売をしています。
カクテルをつくる側からすれば、小さい缶は使いきりで炭酸の抜ける心配がなくなるので、とてもありがたい存在です。
ネオ・プレミアム Neo premium
「 made from japan 」を合言葉にこだわって作られた沖縄産トニックウォーターです。 特徴は何といってもシークワーサーを使っているところ、しっかりめの炭酸と甘み、それとシークワーサーの酸味と香りを感じれます。 トニックウォーターが好きな方は一度はお試しいただきたい一品です。

シュウェップス Schweppes

世界各国で販売されているイギリスの飲料メーカーです。 強めの炭酸に人工甘味料と酸味のバランスが取れている味わいが特徴のトニックウォーターです。
カクテス Cocktess
木村飲料より発売されているトニックウォーター。 甘さ控えめと記載があり、カクテルの割り材として生産されています。
スッキリとした甘味料の香りと、程よい強さの炭酸が特徴。


ヴィーン・ノルディック Veen nordic

フィンランド産で、天然の湧水を使用したハイクオリティのトニックウォーターです。
キニーネのスッキリとした苦みと、ボタニカルの酸味を感じられます。
コダマ Kodama
ブランド、生産ともに純国産という珍しいトニックウォーターです。サイダーを思わせる甘みと香りに、若干の苦みが加わっています。 苦みを抑えたい方にはおすすめのトニックウォーターです。

トニックウォーターを使った主なカクテル

ジン・トニック・・・ジントニックは、シンプルで奥深いカクテルです。 ロングカクテルの中では一番の定番で、一番有名なカクテルです。サッパリとした爽快感とジン独特の香りが何杯でも飲めてしまうカクテルです。
ソルトリック
ソルクバーノ
テコニック・・・テキーラの独特な風味に、苦みのあるトニックウォーターで割り、酸味のライムを加えたレシピで、ジントニックと同様に飽きがきにくく、飲みやすいカクテルです。


ウィスキー・トニック・・・ウィスキーの芳醇な香りとトニックウォーターほのかな苦み、喉越しがマッチしたカクテル。
フレンチエメラルド
チャイナブルー
スプモーニ・・・爽やかながら苦味と甘味にフルーティーな酸味もバランスよく感じられ、トニックウォーターが飲みごたえを出してくれているので、万人受けしながらも、玄人にも好まれるカクテルです。


ファンタスティック・レマン・・・スイスの幻想的なの湖「 レマン湖 」をイメージし、グラスの底にブルーのグラデーションをつくり美しいカクテルです。 味は、日本酒の癖がなく、スッキリしていて甘さと爽やかさのバランスが絶妙なカクテルです。
オレンジ・フラワークーラー・・・オレンジジュースのフルーティーな甘みに、ざくろのシロップで違いのある甘みを加え、少しの苦みのある炭酸飲料、トニックウォーターで割るクーラースタイルレシピ、爽快感とサッパリとした甘みが特徴で、飲みやすく、何度も飲めるカクテルです。

まとめ・感想

一言にトニックウォーターといっても、様々なタイプがあります。 炭酸の強弱、苦みの強弱、甘みの強弱などなど・・・。 お家でカクテルを飲む際に、ペットボトルや瓶タイプだと、使いきれず炭酸が弱くなってしまうときがあります、そんな場合は、185ml~200ml程の飲みきりサイズの缶タイプをおすすめします。 毎回開けたての炭酸が味わえますので、お家カクテルにはもってこいだと思います( ただ、缶のゴミが異常に増えます )
上記に載せたトニックウォーターであれば、どれを使っても美味しくカクテルが飲めると思います。 その中でもご自身のお好みの一本が見つかれば幸いです。
おすすめ本