オレンジキュラソーの歴史・特徴を解説|カクテルのお酒 果実系リキュール編

樽貯蔵庫を背景にしたリキュール・オレンジキュラソーのグランマルニエ
目次
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リキュール( 混成酒 )について

棚に数多く並んだお酒のボトル

リキュールとは、アルコール度数の高い蒸留酒に果物、ハーブ、スパイス、薬草などを漬け込み、砂糖などを加えたお酒の総称で、お酒の製造種類で言うと「 混成酒 」になります。

リキュールは古代ギリシャ時代に存在していたワインに薬草を溶かして混ぜたことが始まりとされています。

その後に登場した蒸留酒が本格的に様々なリキュールを生み出すようになります。 ワインを蒸留して濃縮したものに薬草などを漬け込むと保存性が上がることと、薬用酒としての効果も修道院が発見し、リキュールは進化していきます。

大航海時代が始まると、様々な国の果物、スパイスが輸入、輸出されるようになり、リキュールは幅広く発展していきました。リキュールが盛んに使われた中世のヨーロッパ時期、貴族達が集うパーティーで、貴婦人達が着ている華やかなドレスや宝石などの色に合わせて作られたカクテルを飲んでいたそうです。

現在でも果実ベース、ハーブやスパイスベースといった様々なリキュールが生まれています。ちなみに古くからある日本のリキュールと言えば、みりんと梅酒です。 本来みりんは米のリキュールで、戦国時代辺りでは甘いお酒として飲まれていました。現在では調味料の枠に入ってしまっていて、飲めるような味ではありません。他の日本産リキュールは柚子、みかん、抹茶、さくらさどが売られています。

キュラソーの歴史

ベネズエラ・オランダ領キュラソー島

Photo|ベネズエラ北 オランダ領 キュラソー島

キュラソーとは、南米のベネズエラの北海にあり、現在はオランダ領となっている島です。

この島は1499年にスペイン人によって発見されます。 元々は先住民であるアラワク諸族が住んでいましたが、1527年からスペイン人に労働奴隷として連れていかれるようになり、現在ではほぼ絶滅しているそうです。

その後の1634年に、オランダ艦隊がキュラソー島に居たスペイン人を追い出し、砦を建設しました。

その後港と建設するとトウモロコシや落花生、塩などの生産で栄えるようになり、 貿易の拠点に相応しい位置に島が存在していたことから、様々な国が寄るようになりました。

17世紀後半に、キュラソー島内で採れるオレンジをオランダ人が本国へ持ち帰り、アルコールに浸してオレンジリキュールが作られました。 そして現在ではオレンジリキュールのみではなく、ホワイト・オレンジ、ブルー、グリーン、レッドと様々な着色を行ったキュラソーシリーズが定着をしています。

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オレンジキュラソーとは?

オレンジと花

オレンジキュラソーとは、ブランデーや他のスピリッツをベースにオレンジの果皮を漬け込んで風味づけをし、人工着色料を使ってオレンジ色にした果実系リキュールの一つです。

名前にオレンジと入っているように、見た目は橙色をしており、使い方は基本的にホワイトキュラソーと同じです。中身はホワイトキュラソー同様オレンジの風味と華やかな香りがあり、リキュールなので甘味もあります。

オレンジキュラソーもブルーキュラソー同様人口着色での色付けを行っており、オレンジの果実などが入っているわけではありません。 あくまでの果皮をアルコールに漬け込んだものです。

ジンウォッカなどのようにベースとして使われることは少ないですが、その爽やかさから多くのスピリッツや様々なリキュールなどと相性が良く、カクテルとして使われることがほとんどです。 カクテルレシピを並べてみれば、キュラソーを使っているカクテルはかなり多くあります。他にもカクテルのみに留まらず、その爽やかな香り、程よい甘味を持っているため、お菓子作りにも使われることが多いです。

オレンジキュラソーの製造

地下に並べられた熟成中の樽

オレンジキュラソーは、ビターオレンジの皮をベースに、スピリッツ、砂糖、水などを組み合わせて作られるリキュールです。その歴史は古く、17世紀にはオランダ領キュラソー島で誕生したと言われています。

伝統的な製法と現代的な製法

1. 伝統的な製法:時間と手間のかかる職人技・・・伝統的な製法では、ビターオレンジの皮を丁寧に乾燥させ、スピリッツに漬け込みます。スピリッツには、ブランデー、ラム、ウォッカなど様々な種類が使用されます。漬け込み期間は数週間から数ヶ月と長く、その間、定期的に混ぜて香りを抽出します。

その後、抽出液を濾過し、砂糖や水を加えてシロップを作ります。シロップの濃度は、メーカーやレシピによって異なります。最後に、再度濾過して瓶詰めすることで、完成となります。


2. 現代的な方法:効率と品質の両立・・・近年では、伝統的な製法に加えて、より効率的な製造方法も開発されています。例えば、超音波抽出やCO2抽出などの技術を用いることで、短時間で香り成分を抽出することができます。

また、カラム蒸留や膜ろ過などの技術を用いることで、よりクリアで高品質なリキュールを製造することができます。

オレンジキュラソーの製造過程

1 原料の調達

  • ビターオレンジ: 完熟したビターオレンジを厳選し、皮を丁寧に剥きます。
  • スピリッツ: ブランデー、ラム、ウォッカなど、レシピに合わせて適切なスピリッツを選択します。
  • 砂糖: 白砂糖やグラニュー糖など、リキュールの風味に影響を与えないものを選びます。
  • 水: ミネラル分が少ない軟水を使用するのが一般的です。

3.2 オレンジの皮の処理

  • 乾燥: 皮を風通しの良い場所で乾燥させます。日光に当てると変色してしまうため、日陰で乾燥させるのがポイントです。
  • 粉砕: 乾燥させた皮を細かく粉砕します。

3.3 スピリッツへの漬け込み

  • 漬け込み容器: ガラス瓶やステンレス製のタンクなど、密閉できる容器を使用します。
  • 漬け込み期間: スピリッツの種類や気温によって異なりますが、一般的には数週間から数ヶ月です。
  • 温度管理: 一定の温度を保つために、温度管理室を使用します。

3.4 抽出

  • 伝統的な方法: 定期的に混ぜながら、スピリッツにオレンジの皮の香りを抽出します。
  • 現代的な方法: 超音波抽出やCO2抽出などの技術を用いて、短時間で効率的に抽出します。

3.5 ろ過

  • ろ紙: 不純物を取り除くために、紙製のろ紙や布製のろ過布を使用します。
  • ろ過方法: 重力ろ過や圧力ろ過など、様々な方法があります。

3.6 シロップ作り

  • 砂糖と水を鍋に入れ、加熱してシロップを作ります。
  • 温度: 焦げ付きやすいので、焦げ付かないように注意しながら加熱します。
  • 濃度: リキュールの風味に影響を与えるため、レシピに合わせて適切な濃度に調整します。

3.7 ブレンド

  • 抽出液とシロップを混ぜ合わせます。
  • アルコール度数: 調整が必要な場合は、スピリッツや水を追加します。
  • 風味: バニラやスパイスなどの香料を加える場合もあります。

3.8 熟成

  • 熟成期間: リキュールの風味を安定させるために、熟成させる場合があります。
  • 熟成容器: 樽やタンクなど、密閉できる容器を使用します。
  • 温度管理: 一定の温度を保つために、温度管理室を使用します。

3.9 瓶詰め

  • 瓶: ガラス製の瓶を使用するのが一般的です。
  • ラベル: リキュールの名前、原材料、アルコール度数などを記載します。

3.10 品質検査

  • 外観: 色、濁り、沈殿物などを検査します。
  • 香味: 香り、味、アルコール度数などを検査します。
  • 安全性: 重金属などの有害物質が含まれていないことを確認します。

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オレンジキュラソーの主なブランド

ブランド比較表

項目 / ブランドグラン・マルニエボルス
原産国フランスオランダ
主要原材料ビターオレンジの皮、コニャックビターオレンジの皮、スイートオレンジの皮、中性スピリッツ
製 法オレンジの皮をコニャックに浸漬・蒸留、砂糖を加えて熟成オレンジの皮を中性スピリッツに浸漬・蒸留、シロップとブレンド
アルコール度数40 %24 %
風 味リッチで複雑、コニャックの深みとオレンジの芳香が融合フレッシュでフルーティー、ビターとスイートオレンジのバランス
用 途高級カクテル、料理、デザートの風味付けカクテル、デザート、料理の風味付け
価 格¥ 2,400 台¥ 1,600 台
詳 細グラン・マルニエ ⇓ボルス ⇓

グラン・マルニエ Gran marnier

リキュール・オレンジキュラソーのグランマルニエ

原産国 = フランス
〚 歴 史 〛・・・1827年フランス中北部のヌフル・ル・シャトーという地域で蒸留所が設立されました。設立者である「 ジャン・バティスト・ラポストール 」は蒸留所設立から優れたオードヴィー( ブランデー )を製造し、評判を上げました。

1880年に ジャン・バティスト・ラポストールの婿養子であるルイ・アレクサンドル・マルニエル・ラポストールは、この当時貴重であったオレンジとコニャックの組み合わせを試みます。 コニャックの香りや気品とオレンジビターを合わせたグランマルニエが誕生しました。


〚 原料・製造 〛・・・グラン・マルニエのオレンジは中南米、カリブ海の島国であるハイチの自社農園で栽培されています。 品種名はシトラス・ビガラディアを使用し、栽培された中から最も味と香りが凝縮されているものを厳選収穫します。

食用ではないため、まだ緑色の段階で手摘み収穫し、天日干しされたシトラスを選別し、フランスの蒸留所へと送られるのです。 蒸留も時間をかけてじっくりと行うことで、オレンジアロマは極限まで凝縮されます。

コニャック = グラン・マルニエに使用する原酒は、コニャック生産で有名なグランド・シャンパーニュ、プティット・シャンパーニュ、ボルドリ、ファン・ボア、ボンボアのブドウから作られます。

2回の蒸留を経てセラーマスターに選ばれた原酒はオーク樽で熟成し、再度セラーマスターにブレンドされ、オレンジの蒸留酒と合わさりグラン・マルニエ独特のコニャックに仕上がります。


〚 感想・まとめ 〛・・・気候や、土地にこだわった自社菜園のオレンジ蒸留酒に、最高のコニャック、マスターブレンダーによる厳選された原酒と、技術、感性を融合したオレンジキュラソーは、他のオレンジキュラソーとは一つ抜き出た存在と言えます。

グラン・マルニエの「 グラン Grand 」は「 栄光 」を意味し、その歴史と品質を表しています。

ボルス Bols

リキュール・ボルスのオレンジキュラソー

Photo|画像提供 Asahi

原産国 = オランダ
〚 歴 史 〛・・・1575年オランダ・アムステルダムに住むボルス一族は蒸留所を設立します。 そして創始者の孫にあたる「 ルーカス・ボルス 」という人物が、1664年には当時オランダの中で盛んに生産されている ジュネヴァ( オランダのジン ) の製造に力を入れ始めます。ジュネヴァがイギリスに渡り評判になりました。

大航海時代には貿易が盛んになり、当時オランダは世界有数の貿易国家であったため、世界のスパイス、香草、薬草、果実などが輸入され始めます。 ボルスはその素材を酒に浸し、様々なリキュールを製造し始めました。 その様々なリキュールがフランスへ伝わり、貴婦人たちが身に付けているドレスや宝石とマッチするという事で流行になります。その流行がキッカケでヨーロッパ各地、そして世界各国に広がりました。

その後1920年には、アメリカ禁酒法が始まります。 ごまかすために考案されたカクテルの中にリキュールを使われることが注目され始めると、アメリカ中でリキュールが広がり、カナダ経由でアメリカに運ばれ、アメリカ国内で人気を獲得していきました。

その後第二次世界大戦後辺りから禁酒法で生まれたカクテルはヨーロッパ各地に広がりを見せ、ボルスとリキュールは現在の地位を確立したのです。


〚 特徴・信条 〛・・・ボルスを発展させたルーカス・ボルスは、世界中から持ち込まれるハーブや薬草、果実を使い試行錯誤し、数多くのリキュールを生み出します。

はじめてリキュールを製造した当時から「 自然の風味を損なわずに、完璧な味わいを引き出す 」という心情を現在も守り続けています。


〚 感想・まとめ 〛・・・ボルスはリキュールメーカーとしては最古の歴史を持ち、これまで様々な種類のリキュールを世に送り出してきました。

中でもボルスのブルーキュラソーは世界で一番売れているブルーキュラソーです。 その厳選されたエキスと、美しい青が人気の理由です。

現在ボルスとデ・カイパーはオランダの2大リキュールメーカーとして世界で知れ渡っています。

まとめ・感想

皮をむき器に入ったマンダリンオレンジ

カクテルにおいてオレンジキュラソーの存在は、香りや風味を感じられ、それでいて主張しすぎないことから多くのカクテルで使われています。 そのまま飲むことももちろんO.Kなのですが、やはりカクテルの材料として、何かと合わせる方が私個人としてはおすすめです。様々なカクテルレシピを見て、そして最終的には自分でオリジナルカクテルをつくる際に、必ずお役に立てるリキュールではないかと思います。

オレンジキュラソーはそれと同時に色を加えるという役割があり、その美しい橙色で様々なカクテルを美しく演出をしています。 無色なカクテルにオレンジキュラソーを少し入れるだけで、雰囲気のあるカクテルに変身します。

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