世界4大スピリッツの一つのテキーラは他のジン・ウォッカ・ラム程の生産量はありません。理由としてはシャンパーニュ地方で生産されているシャンパンと同じく原産地呼称が認められているお酒です。つまり認められた地域での生産でなければ「 テキーラ 」と呼ぶことはできません( メキシコ国内の定められた5州のみ )。これが他のスピリッツとの違いで、生産量が他の3種よりも少ない理由です。
しかし世界的に飲まれているお酒であることには変わらず、カクテルレシピも多くあり、その中でも「 テキーラ・サンライズ 」・「 マルガリータ 」が有名です。
それでは様々なテキーラのブランドをリストで紹介!!
テキーラの主なブランド
クエルボ・シルバー Cuervo

1758年のスペイン統治時代、ホセ・アントニオ・クエルボは当時のスペイン王からメキシコ・ハリスコ州内の土地を譲り受け、アガヴェの栽培に力を入れました。
その後1795年にスペイン王からテキーラの製造・販売を認めるライセンスを取得。 この時にテキーラブランドの「 クエルボ 」が誕生しました。
「 クエルボ 」とはスペイン語で「 カラス 」の意味です。 創始者のホセ・アントニオ・クエルボの遠い祖先が強盗の放った銃弾をカラスの存在で助かったという話からロゴマークをカラスにしました。
世界で一番出荷量が多いテキーラで、特徴はブランコ・テキーラの中でも、アガヴェの甘み、香りを感じることができます。ブランコ・テキーラに迷った場合や、初めてテキーラを購入しようと考えている方は、クエルボはおすすめです。
エラドゥーラ・プラタ Herradura
エラドゥーラ蒸留所は以前牧場でした。 牧場の幸運のシンボルである蹄鉄をアガヴェ畑で見つけたことからロゴマークをそのまま蹄鉄( Herradura )を使用するようになりました。
エラドゥーラ蒸留所は世界でも唯一の「 アシエンダ 」で登記されている蒸留所です。アシエンダとは、スペイン統治時代に地主が大農園を支配し、従業員を自分の土地に住まわせている存在で、広大な敷地には地主の大家族の屋敷と従業員の家があり、小さな村の様になっています。

10年育成したアガヴェを使用し、口当たりが良い上品なテキーラです。 他と違う点はホワイトオーク樽を使用していることです。 ホワイトオーク樽を使用することで、シナモンやフルーティな香りが入り、とても飲みやすい一品です。
サウザ Sauza

テキーラ・ブランコの中でも代表格的存在で、「 テキーラの父 」と呼ばれています。
1873年にメキシコ・ハリスコ州に若干15歳の若者が蒸留所を取得し、アガヴェを栽培しました。 その若者がサウザ創設者である「 ドン・セノビオ・サウザ 」です。 この若者は当時テキーラは「 メスカル 」というアガヴェから作られるお酒の中の一種という認識でしたが、初めてラベルに 「 テキーラ 」を記載し販売しました。 そしてそのテキーラを初めてアメリカに輸出した人物も彼でした。
さらに1903年、2代目サウザの「 ドン・エラディオ・サウザ 」はヨーロッパに輸出を成功させます。
テキーラ・ブランコの特徴はやはりすっきりした味わいが特徴で、カクテルに使うテキーラを迷った際には、サウザを使う事をおすすめします。
カー Kah
「 KAH ( カー )」とは「 人生 」という意味し、メキシコの伝統行事の「 死者の日 」をモチーフにした手書きのような骸骨の形をしたボトルが特徴的です。ボトルのみならず、アルコール度数が55度と全テキーラの中で最も高いテキーラです。
メキシコ・ハリスコ州・バジェス地区で育てられたアガヴェを100%使用し、アメリカンオーク樽で2か月間熟成させました。 まろやかな口当たりと、ほのかにキャラメルやバニラの香りがあるのが特徴で、アルコール度数は高いですが、ロックスタイルで香りを楽しみながら飲むことができます。

オルメカ Olmeca

メキシコ文明は、紀元前1500年頃メキシコ西湾岸であった文明で、アメリカ大陸では一番最初の文明と言われています。 巨大な石の彫刻を作ったり、土づくりの建築物、ヒスイなどの玉石を加工する技術を持っていました。
オルメカテキーラとはそんな「 オルメカ 」の石像をラベルに使い、銘柄もオルメカを使用している情熱と太陽が生んだテキーラブランドです。メキシコ国内のみならず、欧米でも人気の高いテキーラで、カクテルはもちろんロックでも十分楽しめる一品です。
味わいは蜂蜜を思わせる甘さがはじめに感じられ、黒コショウのようなスモーキーさが後に口に広がります。 香りはバニラ、オーク樽、グレープフルーツピールのフーティーな香りに加え、アガヴェ100%使用によるアガヴェの香りが特徴的です。
マリアチ・ゴールド Marichi
「 マリアッチ 」とは、メキシコの民族音楽のことで、楽団の総称でもあります。 根強い人気がある銘柄です。
通常よりも高地でアガヴェ栽培を行っており、通常のアガヴェよりも栽培期間を数年長くし、熟成も圧力窯を使わずに、何時間もかけてゆっくりと繊維を大切に蒸し、アガヴェの甘みを抽出します。
熟成も通常のレポサドよりも7~8か月長く熟成し、レポサドとアネホの間といった特徴があります。
雑味が無く、クリアな味わいにコクが加わったテキーラで、ロックやストレートにぴったりなテキーラです。

ドン・フリオ Don julio

創業者は「 フリオ・ゴンザレス 」という若干17歳の少年が、1942年創業しました。
フリオ氏はテキーラに関しての知識を身に付け、アガヴェの栽培から見直します。 アガヴェを植えてある間隔を広く取り、栽培するアガヴェの数を減らします。 そうすることでアガヴェ一つ一つの吸収する養分を増やし、大型で質の高いものが収穫できるようになりました。 当時高度成長期だったため、質より量の生産が主流でしが、その中でフリオ氏は量よりも質にこだわったのです。
安価のテキーライメージを覆し、「 プレミアム 」なテキーラの観念が誕生したのです。
現在ではプレミアム・テキーラのイメージが浸透し、セレブなどに絶大な人気を持ち、映画「 ソーシャルネットワーク 」に「 ドン・フリオ 1942 」が登場、「 成功者が飲むお酒 」として紹介されています。
メキシコ、ハリスコ州ロス・アルトス地区にあるドン・フリオ蒸留所が生産を行っているテキーラです。 このロス・アルトス地区は、アガヴェ栽培の風味・甘みを重点的に育てるには最適の気候と土壌を持つ地域で有名で、ドン・フリオはこの良質なアガヴェの栽培から樽熟成まで全て手作業で行うという徹底的な品質管理を行っています。
その徹底的な品質管理を行うことで、クリーンで雑味が少なく、味わいがしっかりし、独特のやわらかさと滑らかさを持ち、更にバーボン樽で1年半以上の熟成から、チョコレートやオレンジ、ナシの風味を持った高品質なテキーラが出来上がります。
パトロン Patron
栽培に適した土地、メキシコ・ハリスコ州ハイランド地区で栽培されたアガヴェの中から更に厳選したものを使用し、一般的には圧力釜で蒸しますが、煉瓦窯で3日間じっくり蒸し焼きにし圧力釜よりも濃厚な甘みを引き出します。
時間をかけて2回以上の蒸留を行い、更にその中から厳選した原酒を様々なスパイスなどをブレンドし、アメリカンオーク樽で12か月 ~ 14か月熟成させます。
プレミアム・テキーラの中で、ドン・フリオと並ぶ2大巨頭として存在しています。

ビンのラベルに記載されている通り、蜂蜜のようなトロリとした濃厚な味わいと甘みが特徴です。
そしてバニラ、レーズン、シトラスの香り、バニラ、レーズン、蜂蜜を感じるオークウッドの味わい、余韻にカラメルとスモーキーが楽しめる逸品です。
ポリフィディオ Porfidio

メキシコ・ハリスコ州・ラフ・フンタス地区生まれのテキーラで、特徴はボトルのサボテン。 実はラベルに描かれているのではなく、ガラス細工のサボテンが瓶の底から生えているように作られています。
アメリカの俳優 ロバート・デ・ニーロや、世界的富豪のビル・ゲイツが愛飲していることでも有名で、各コンクールで金賞を何度も獲得している逸品です。
育成に12年間もの時間を費やしたアガヴェを100%使用した「 プレミアム・テキーラ 」で、こちらもトロリとした口当たりに、他のアネホよりも長い7年という熟成期間からくる香りとコク、更に更に蒸留回数も3回と他のテキーラよりも多く行っているため、雑味も少ないです。
おすすめのテキーラ・アネホにラインナップしてはいますが、実はポリフィディオは「 テキーラ 」ではないのです。テキーラは様々な条件をクリアして初めて「 テキーラ 」と名乗ることができるのです。
ポリフィディオはアルコール度数が25%前後で、テキーラの条件は35%~55%という規制があり、更にポリフィディオはテキーラ(厳密にはテキーラではないですが)以外にラムなどのスピリッツの製造にも力を注いでいるためという理由ではないかと思われます。とはいってもポリフィディオが最高級のアガヴェ・スピリッツであることは疑いようのない事実であり、おすすめにラインナップして当然の銘柄です。

テキーラの歴史・製法

世界4大スピリッツの一つのテキーラは他のジン・ウォッカ・ラム程の生産量はありません。理由としてはシャンパーニュ地方で生産されているシャンパンと同じく原産地呼称が認められているお酒です。つまり認められた地域での生産でなければ「 テキーラ 」と呼ぶことはできません( メキシコ国内の定められた5州のみ )。これが他のスピリッツとの違いで、生産量が他の3種よりも少ない理由です。
しかし世界的に飲まれているお酒であることには変わらず、カクテルレシピも多くあり、その中でも「 テキーラ・サンライズ 」・「 マルガリータ 」が有名です。
テキーラの誕生

きっかけは、メキシコ中西部にあるハリスコ州サンティアゴ・デ・テキーラという町の近くにある、シエラマドレ山脈で大規模な山火事がありました。 焼け野原になった山を歩くと、焦げた竜舌蘭がゴロゴロと転がっており、辺り一面甘い香りと焦げた竜舌蘭をかじっているハツカネズミがいました、山火事の熱が竜舌蘭から砂糖を作り出すことをテキーラの町人が発見しました。
そしてそれを知ったスペイン人は蒸留技術を持ち込み、 「 プルケ 」を蒸留し、スピリッツを作りました。 この竜舌蘭を使ったお酒を「 メスカル 」と呼びます。
テキーラとメスカルには大きな違いは無く、テキーラとは200種類以上あると言われるメスカルというお酒の中の一種で、サンティアゴ・デ・テキーラで栽培されているアガベ・アスール・テキラーナという竜舌蘭を使用したものをテキーラと呼びます。 よって現在でも竜舌蘭から作ったお酒は「 メスカル 」と呼ばれています。
テキーラの定着
テキーラが大きな注目を集めたのは1949年の全米カクテルコンペティションで「 マルガリータ 」が入選し、テキーラが大きく注目されるだけでなく、テキーラベースのカクテルもこれをキッカケに増えていきます。 そして1968年開催のメキシコオリンピックで世界中の人たちがメキシコに訪れると、メキシコの文化と共にテキーラは世界に広く知られるようになりました。

その後世界各地にテキーラが広まりましたが、模造品が目立つようになりました。
模造品は質が悪いものが多く、テキーラのイメージや品格が悪くなる事を恐れたテキーラ製造会社達は、1974年メキシコ政府に規制を作るよう働きかけます。
こうして1994年にテキーラ商工会議所主導の下、生産過程全般の規制管理が完成し、違反者には法的措置を取れるようになりました。そしてテキーラは 原産地呼称が与えられ、メスカルから独立したような形になったのです。
テキーラの製法

海抜600m~1,800mの標高と平均気温20℃、晴天日数が250日以上は必要という限られた土地でしか栽培できません。さらに苗を植えてから収穫まで6年以上、長いもので12年の月日がかかるため維持管理も大変です。
蒸留所に運び込まれたアガヴェはデンプンを糖分に変えるために加熱を行います。蒸気圧力釜を使ったり、石造りのオーブンで加熱します。
加熱工程を終えたアガヴェは、その後ローラーで砕き・加水・圧縮を行い糖分を十分に絞り出し、その搾り出した液体を発酵させ、2回以上蒸留します( メスカルの蒸留回数は1回ですが、テキーラは必ず2回以上行います )
- テキーラの歴史・原料・製法は ⇒ コチラ