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トム・アンド・ジェリーは、その名のとおり物語性のある一杯です。1821年のピアース・イーガン著『ライフ・イン・ロンドン』と、その大ヒット舞台の主人公二人の名を借り、1862年にはジェリー・トーマスが、今も使われるブランデーとラムのレシピを発表しました。
泡立てた卵と砂糖の生地をお湯で伸ばせば、ブランデーとダークラムがベルベットのような口当たりに変わり、マグを覆う泡にスプーンを入れると、温もりと香りが同時に立ち上ります。
今夜一杯、冬の夜を特別に変える一杯を味わってみてください。
レシピと作り方
材 料

Recipe no.091
- ブランデー・・・・・・・・・・30ml
- ダークラム・・・・・・・・・・15ml
- 砂糖・・・・・・・・・・・・・2tsp
- 卵・・・・・・・・・・・・・・1個
- 熱湯・・・・・・・・・・・・・Full
- ナツメグ・・・・・・・・・・・少々
※ 1tsp = バースプーン1杯分の分量のこと
※ Full = グラスの8割~9割まで満たす適量のこと
作り方

たまごと小さめのボウルを2つ用意し、卵黄と卵白をそれぞれのボウルに分けます。
卵黄は粘りが出るまで泡だて器などでかき混ぜ、砂糖を入れ完全に砂糖が溶けるまでさらに混ぜます。
卵白は少しメレンゲ状にします。
卵黄を卵白のボウルへ入れ、ブランデー、ダークラムを入れ、メレンゲが潰れないように優しく混ぜます。
混ぜた材料をグラスヘ注ぎ、少しずつお湯を入れながらステアします。( 強くステアするのはNG )
最後にナツメグを上へ少々振って完成です。
Point
・手間はかかるが、その分「 ごちそう感 」が強いので、クリスマスや特別な夜にこそおすすめしたいカクテル。
・卵は常温に戻してから泡立てると滑らかさが増す。
・ベースに砂糖をしっかりすり混ぜ、熱湯を一気に注ぐより、少しずつ加えて全体をふんわり立ち上げると失敗しにくい。
・ナツメグは表面に軽く振る程度で十分。香りが立ちすぎると全体のバランスを壊すので注意。
- 技法 = ステア
- グラス = ホットグラス
- スタイル = エッグスタイル
- アルコール度数 = 9% 前後
- 最適なTPO = 食後 / 寝酒
- カクテル言葉 = 「 静かな夜 」
- カクテル誕生日 = 「 12月25日 」
トム・アンド・ジェリーの詳細と動画
由来・誕生

Photo|グロッグ
トム・アンド・ジェリーは、寒い夜に体を芯から温める冬の定番だと捉えるとわかりやすい。土台には18世紀の英国海軍で広まった温かいラム割り”グロッグ”の系譜があり、そこに卵と砂糖を合わせた泡立つ生地が加わって、香り豊かなホットカクテルへ育った。
名前の由来は意外にも文学的だ。1821年、イギリスの作家ピアース・イーガンが著書『Life in London』を出版し、続いて人気の舞台劇も生まれた。どちらも「トム」と「ジェリー」という2人の登場人物が主役だった。イーガンはこの本と舞台劇の販促の一環として、同じ名前を冠したブランデー入りのエッグノッグを考案したと伝えられている。そしてこの飲み物は、単なる宣伝の域を超えて広く定着していった。
19世紀半ばまでにはアメリカの冬の定番となり、名バーテンダー、ジェリー・トーマスがその完成形を作り上げた。1862年、彼はブランデーとラムを組み合わせたレシピを自著で発表し、この組み合わせは現在も受け継がれている。トーマスの演出力が、シンプルなエッグノッグを祝祭にふさわしい一杯へと磨き上げた。
特徴と味わい

トム・アンド・ジェリーは、冬の夜を特別にしてくれる温かいカクテルだ。ブランデーとダークラムの香りを土台に、卵と砂糖をしっかり泡立てた生地を熱湯でのばすことで、口当たりは驚くほどまろやかに仕上がる。ホットカクテルにありがちな単調さはなく、アルコールのコクと卵の柔らかさが重なり合い、飲むほどに奥深さが増していく。表面に振るナツメグがスパイシーなアクセントとなり、甘さに切れ味を与えているのも大きな魅力だ。
この一杯を特別にしているのは「温度」と「泡」。しっかり撹拌した卵が熱でふわりと膨らみ、カップの表面をやさしいクリームのように覆ってくれる。その層をスプーンで割りながら口に運ぶと、温かさと香りが同時に広がり、体の内側からほどけていく感覚に包まれる。
冷たいカクテルとは違う「ぬくもりを味わう贅沢さ」が、トム・アンド・ジェリーの大きな特徴と言えるだろう。特別な日や人が集まる冬の夜にふるまえば、ひと口ごとに会話が柔らかく弾み、心まで温めてくれる一杯になる。
ポイント・アレンジ・相性の良い食べ物

相性の良い食べ物・おつまみ
- ジンジャーブレッドクッキー:温かみのあるスパイスが表面のナツメグと呼応し、クッキーの甘みがカクテルの濃厚な風味と自然に調和する。
- 焼き栗:栗の素朴な甘みがカクテル自体の温かみと重なり合い、香ばしさがブランデーのコクと美しく響き合う。
- 熟成ゴーダチーズ:チーズのキャラメルのような香ばしい深みがラムの甘みを引き立て、塩気が卵由来のコクとバランスを取る。
作り方のポイント
やりがちな失敗は、熱湯を一気に加えてしまうこと。これだと泡立てた卵がしぼんでしまい、薄くて締まりのない仕上がりになる。ステアしながら少しずつ加えるのが唯一の正解で、ふんわりとしたカスタードのような食感を保てる。
アレンジ
- スパイスド・トム・アンド・ジェリー:生地にシナモンやクローブをひとつまみ加えれば、より温かみのある華やかな香りに。
- コーヒー・トム・アンド・ジェリー:熱湯の一部を濃いめに淹れたコーヒーに替えれば、より深みとほろ苦さのあるアレンジに。
- バーボン・トム・アンド・ジェリー:ブランデーをバーボンに替えれば、より甘くキャラメルを思わせる土台に。
私ならクリスマスの集まりにはスパイス版を勧める。香りに加わる温かみが、ますます祝祭にふさわしい一杯を演出してくれる。
注記 | このレシピには生卵(卵黄・卵白)を使用します。サルモネラ菌等のリスクを避けたい場合は、低温殺菌卵(pasteurized eggs)の使用をおすすめします。
レシピ動画
- レシピ動画|JiLL GaMaN cocktail Channel Home
バーテンダー経験者が描く小説『 Bar 灯影 ~まだ名前のない約束たち~ 』

紹介文 ピックアップ | 東京の雑居ビルの地下にある、隠れ家バー「Bar 灯影」。寡黙なマスターと、仕事帰りに通う23歳の彩香のもとに、毎晩いろいろな事情を抱えた客がやってきます。
マスターは多くを聞かず、その夜の一杯だけを差し出します。この記事で紹介したカクテルも、物語の中で一杯のカクテルとして登場します。
レシピの向こう側にある「 その一杯を、なぜ今出すのか 」を、小説で味わってみてください。
材料リスト
熟成感のある豊かな香りと、マイルドなコク、すっきりとしたボディー、洗練されたアフターテイストが特徴です。ストレートやロック以外にもトニックで割ると、すっきりとした味わいも楽しめます。
微かなスモーキーの香りと、洗練された深い味わいと香りが特徴的です。ロックなどでも美味しく飲めますし、コストパフォーマンスが良く、カクテルにオススメなダークラムです。
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