スコッチ・ウィスキーの特徴と主なブランド|カクテルのお酒 ウィスキー編

[ スポンサーリンク ]

[adcode]

目次
[ スポンサーリンク ]

関連記事・カクテルレシピ リスト

⇒ 画像 / タイトルをクリックでレシピリストページへ

〚 他のカクテル レシピリスト 〛

[ スポンサーリンク ]

[adcode]

スコッチウィスキーとは?

スコッチとはスコットランドで製造され、スコッチウィスキーに定められた定義をクリアしたウィスキーのことで、世界5大ウィスキーの中の一つです。

世界5大ウィスキーの中ではアイルランドのアイリッシュウィスキーと同じく最も古いウィスキーの歴史を持ち、ウィスキー造りに世界で最も適した自然環境が様々な個性をつくり出しているウィスキーの中でも特別な存在です。

1960年代にスコッチウィスキーがアメリカ・ヨーロッパを中心に多く飲まれるようになり、その影響は日本にも流れつきます。 高価なスコッチウィスキーをボトルキープすることが当時のステータスになったいたそうです。

しかし1980年代 ~ 1990年代にはスコッチウィスキーは原酒の質の低下であったり、他のお酒やカクテルの台頭、ブームの変わり目といった理由から冬の時代を迎えます。ただ冬の時代は10年~20年も経たない内に終わり、こだわりのウィスキーを造れる小規模蒸留所の増加、シングルモルトの大量生産といったことをキッカケに以前のブーム時期よりも生産数が伸び、そのまま定着を見せます。

スコッチウィスキーの定義
  • 原料は水、酵母モルトおよびその他の穀物を使用する。
  • スコットランドの蒸留所で糖化発酵、蒸留を行う。
  • アルコール度数94.8%以下で蒸留をする。
  • 熟成は容量が700リットル以下のオーク樽を使う。
  • スコットランド国内で最低3年以上熟成させる。
  • 水とスピリットカラメル以外の添付は不可。
  • アルコール度数40%以上でボトリングする。

[ スポンサーリンク ]

[adcode]

スコッチの特徴・生産地域

スコッチ・ウィスキーの主な生産地 Map

  • アイランズ・・北・西・西南に並ぶ島々。
  • ハイランド・・スコットランド北部
  • スペイサイド・・スペイ川の川沿い。
  • アイラ・・アイラ島
  • キャンベルタウン・・印一角の港町周辺
  • ローランド・・スコットランド南部
アイランズ Islands

Photo = アイル・オブ・アラン蒸留所

スコットランド最北端の島々のオークニー諸島、北からルイス島、スカイ島、マル島、ジュラ島、アラン島にある蒸留酒エリア。

主な共通点は海に近い蒸留所という以外はありませんが、それぞれ個性を持っており、島で生まれたという風味よりは地理やエリア分けにするという認識だとわかりやすいです。

ハイランド Highland

Photo = ベンロマック蒸留所

スコットランド本島の北部一帯のことで、スペイサイドを除いた全てのエリアがハイランドです。 広大で、東西南北とそれぞれ個性を持っていることから、4っつのエリアで分けられることが多いです。 全体的にはピート香が強く飲みごたえがあるものが多い印象があります。

北ハイランドには現在は40くらいの蒸留所が東西南北にあり、特徴はバランスが良く、ヘビーな飲みごたえが強く感じられるものが多く、南にいけばローランドモルトに近づき、ソフトになってくる傾向がみられます。

[ スポンサーリンク ]

[adcode]

スペイサイド Spey side

Photo = グレンリベット蒸留所

スコットランド北東部に流れている全長約170kmの川があり、スコットランド3大河川のひとつで、名前をスペイ川と言い、そのスペイ川、デブロン川、ロッシー川の流域を「 スペイサイド 」と言います。 この川はウィスキーの製造に適している他にサーモンフィッシングが盛んで、フライフィッシングのメッカとしても有名です。

スペイ湖から海へと流れ出る豊富な湧水、気候がウィスキー造りに適していることから、川沿いに約50にも及ぶウィスキーの蒸留所があり、スコットランド最大のウィスキー生産地で、スコットランド全体の約半数の蒸留所がここに集結しています。

大麦の収穫量、ピート( 泥炭 )の両方が豊富な地域で、ウィスキー密造時代には約1,000くらいの密造所が存在していたそうです。

特徴は、フローラルでバランスの取れているウィスキーで、全体的に華やかな甘みを持っています。ブレンデッド・スコッチの原酒として使用されてもいます。

アイラ Islay

Photo = ボウモア蒸留所

スコットランドの北から西、そして西南( 地図で言うと左半分 )の海域に数多くの島々があり、その最南端にアイラ島があります。

島の面積は600km2、兵庫県・淡路島と同じくらいの面積です。人口はアイラ島3,400人と少なく、( 淡路島は人口13万人 )ウィスキー蒸留所と観光が盛んな島です。

アイラ島には8つの蒸留所があり、全て海沿いにあります。 木々が少なく、代わりにピート泥炭が豊富なので、乾燥工程に木炭ではなく、ピート( 泥炭 )を使用。 そのためピート由来のスモーキーさと、海辺の蒸留所特有のヨード臭がします。大麦の栽培に適した気候、良質な水というウィスキーに欠かせない要素が揃っている島です。

現在のシングルモルト人気のキッカケをつくった蒸留地としても有名で、もちろんブレンデッド・スコッチの原酒としても使用されています。

[ スポンサーリンク ]

[adcode]

キャンベルタウン Campbeltown

Photo = スプリングバンク蒸留所

「 キャンベルタウン 」キンタイア半島の先端付近にある湾をクルリと囲んだような小さな港街です。 人口は5,000人程で、6エリアの中でも最小規模です。 全盛期には30カ所ほどの蒸留所があったそうですが、アメリカ禁酒法の解除を境に衰退していきました。

衰退理由として1900年代前半の輸出は主に船で行われていたため、この港町で製造されたウィスキーをそのままこの港町から輸出していたため、小さいながらも潤っていたと思われます。
アメリカの禁酒法が始まると大量の粗悪なウィスキーを売ってしまい、禁酒法が終わった後もその粗悪なイメージを払拭できず、注文数は激減。追い打ちをかけるように、輸出燃料になる石炭が不足してしまったことや、輸出手段が陸路、空路と発展したためと言われています。
多くの蒸留所が粗悪なウィスキーを製造する中、品質を保ったまま作り続けていた蒸留所だけが残っています。

ローランド Lowland

Photo = オーヘントッシャン蒸留所

スコットランド本土の南部エリアのことで、スコットランドの首都であるエディンバラや、大都市グラスゴーがあります。イングランドと面していることから、ウィスキー輸出が行いやすく、そのおかげで資本に恵まれ、歴史上でも蒸留酒の転機となった連続式蒸留器などを他よりも早く取り入れられてきました。

他の地域に比べて香りなどで少し劣ってしまうことから、連続式蒸留器を使い、さらに原料もトウモロコシといった他の原料を取り入れ、グレーン・ウィスキーを生み出します。ただグレーン・ウィスキーを単体で飲むには不向きでした。 そこでクリアさが特徴のグレーンと個性豊かなモルトを合わせる「 ブレンデッド 」が誕生するのです。

南部のウィスキーは、穏やかな風味が目立ち、やや辛口な所が特徴的です。

ここキャンベルタウンの特徴は、「 ブリニー 」と呼ばれる塩っぽい風味を持っていることです。この特徴は他のエリアでは味わうことができず、キャンベルタウン唯一無二の特徴です。 他にも香りが豊かでオイリーな点が特徴として挙げられることが多いです。

[ スポンサーリンク ]

[adcode]

スコッチ・ウィスキーの主なブランド 「 シングルモルト 」

ハイランドパーク Highland park

生産エリア = アイランズ Islands
Scent = Smokey・中 Body = Heavy・中

スコットランド最北端に位置し、かつてはバイキングの拠点となっていたオークニー諸島。 1798年から守られ、現在も受け継がれているシングルモルトです。

オークニー諸島は寒冷地で、風も強く、高い木々が育ちません。 そこでオークニー諸島が4,000年の時間をかけて育んだヘザーの花を元として使用しています。
このピートがハイランドパーク特有のアロマティックでバランスの取れたスモーキーを生んでいます。

他にもこの蒸留所は、スコットランド内でも数カ所しか行っていない「 フロアモルティング 」を採用しており、伝統的な製麦方法を守り続けています。熟成はシェリー樽を使用し、それぞれの樽の原酒を調和させています。深みのある甘い香りとスモーキーのバランスが良いことが最大の特徴です。

グレンモーレンジィ Glenmorangie

生産エリア = ハイランド Highland
Scent = Fruity・強 Body = Light・弱

1843年古いビール工場を改造してスタートします。 しかし資金不足からポットスチルを新調できません。その工場にあったのはジンを蒸留するのに使われた背の高いスチルでした。 しかしその背の高さは思わぬウィスキーを生み出します。 重たいアルコール蒸気は、長いポットスチルを登りきることができずに、軽やかでフルーティーかつフローラルなアルコール蒸気だけが抽出されていたのです。

現在も大人のキリンとほぼ同じ長さ( 5m以上 )の蒸留器を使用し、華やかなアロマとエレガントな味わいを生んでいます。

そしてグレンモーレンジィのこだわりは樽にも見せます。 グレンモーレンジィの理想的な通気性を持つホワイトオークの木を年輪の密集度を数えて選りすグる所から始まります。2年かけてゆっくりと自然乾燥させた後、バーボンメーカーに貸出し、木のタンニンなどの不要な要素を取り除き、グレンモーレンジィのためだけに造られた「 デザイナーカスク 」と呼ばれる特別な樽を使うのです。
スコットランドで一番人気のシングルモルトと言っても過言ではない一品です。

マッカラン Macallan

生産エリア = スペイサイド Spey side
Scent = Fruity・強 Body = Heavy・強

幾つかあるスコッチウィスキーの代名詞的存在であるマッカランは1824年にハイランドで2番目に蒸留ライセンスを取得した伝統あるブランドです。

マッカランはこれまでいくつかの岐路や困難に立たされます。 1914年第一次世界大戦勃発時、企業は武力と製造能力の結集を強いられます。 その時代にマッカランの指揮を任され、苦難を乗り越えたのが「 ケンプ・トラスト 」の存在でした。 ケンプ・トラストとは、マッカランの所有者だったロデリック・ケンプ氏の死後、将来も変わらず一家の精神をマッカランに注ぎ続けるために設立された組織です。

戦時中は多くの作業員が入隊したため人員不足になり、製品を別のものに切り替える話が浮上しました。 第二次世界大戦時には、蒸留酒に使うはずだった大麦を食料提供しなくてはならなくなったり、戦後の材料高騰時代があったりと困難続きの時代が訪れます。他の蒸留所は、品質を落としたり、熟成が足らずとも蒸留所を守るために販売を行ったりしていた中、人員不足や食料提供などの際は一時閉鎖をしたり、熟成不足の際には販売せず、品質を守る方向性を崩しません。 マッカランの特性と言われるシェリー樽が入手困難になったときには、コストが5倍以上膨れてしまうのを覚悟の上で、自ら納得のいく樽を制作し始めるのです。 現在では世界中で愛飲されていることこそが、そのこだわりと伝統を守り抜いてきた証として現在です。

自ら製作しはじめたシェリー樽は、製作から原酒を樽に入れるまで6年という時間をかけて制作され、現在の個性となっています。

グレンフィディック Glenfiddich

生産エリア = スペイサイド Spey side
Scent = Fruity・強 Body = Light・中

ウィリアム・グラント氏は、「 鹿野谷で最高の一杯 」をつくるという夢を7人の息子と2人の娘という家族の助けを得て1886年に蒸留所を設立しました。名前は「 鹿野谷 」という意味の「 グレンフィディック 」この家族の物語は現在も受け継がれ現在では数少ない家族経営で世界で称賛されているシングルモルトの一つです。

世の中に認知され、世界中に輸出するほどのまでに生産量を伸ばしたのは、ウィリアムの孫のグラント・ゴードンでした。スコットランドでは時代が変わるたびに厳しい状況になり、最小で6つの蒸留所まで減りますが、グレンフィディックは生き残ります。

1957年から銅器職人を蒸留所に常駐させるという蒸留所では珍しい主張を貫き、蒸留器の修復、製造を担っています。そのおかげで唯一無二の独特の形と大きさをした蒸留器が出来上がりました。まもなくして今度は外注していた樽をも自社で製造するようになり、現在では数少ないクーパレッジ( 樽製造場 )を持つ蒸留所のひとつです。

そして1998年、シェリー酒熟成に用いられるシステム「 ソレラシステム 」をウィスキーで初めて採用し、グレンフィディック ソレラリザーブ15年を発売します。シェリー樽、オーク樽、バーボン樽の3種類で熟成したモルトウィスキーを、 ソレラバットと呼ばれる大型の樽で半年間熟成してボトリングします。

グレンフィディックの特徴は洋ナシやレモンのフルーティーで成熟した香りを持ち、風味は繊細で軽やかな甘味を感じることができます。 ソレラリザーブははちみつやレーズンの香りを持ち、風味はバニラ、シナモン、ほのかなスパイシーさを感じ、広がりのある滑らかさを感じることができます。

ザ・グレンリベット The Glenlivet

生産エリア = スペイサイド Spey side
Scent = Fruity・強 Body = Heavy・弱

1824年、英国政府公認第一号の蒸留所として有名です。 当時は密造が主流だったため、異例の行いとして周りからは見られていたそうです。

それを良く思わない多くの人々から、ザ・グレンリベット創業者「 ジョージ・スミス 」氏を裏切者と決めつけ、絶えず命を狙われるようになっていたそうです。

このことを考えると、ジョージ・スミス氏のメンタルと度胸の強さが伺えます。 しかし彼のおかげで政府の規制も和らぎ、次々と政府公認の蒸留所が増えていき、密造酒は、スコッチウィスキーへと姿を変えていくのです。

ジョージ氏の苦難は続き、グレンリベットはその品質の高さとネームバリューにあやかろうとする者が多く表れます。他の蒸留所もこのグレンリベットと同じ名前を付けて名声に便乗しようとしたのです。
アベラワー・グレンリベット、アルトモア・グレンリベット、バルメニャック・グレンリベットなどなどその数は25以上にもなったと伝わっています。 名前だけではなく、スタイルも模倣されるようになり、ジョージ・スミスは自分のスタイルウィスキーを守るため、裁判所に提訴しました。 判決が下るまでかなりの時間を要しましたが、1884年、息子のジョン・ゴードン・スミスの時代に「 ジョージ・スミスのウィスキーだけが本物のグレンリベットであり、その証拠として定冠詞のTHEを付けることができる 」という判決が下りました。

ザ・グレンリベットの特徴はバーボン樽で熟成され、バニラ、リンゴ、オートミール、シナモン、バナナ、綿菓子などの特徴的な香りを持つようになります。 ファースト・オロローソ・シェリー樽がドライフルーツと温かみのあるスパイスの素晴らしくリッチなフレーバーを与えています。

ボウモア Bowmore

生産エリア = アイラ島 Islay
Scent = Smokey・中 Body = Heavy・弱

アイラ島は、スコットランド・インナーヘブリディーズ諸島の最南端に位置し、手つかずの美しい自然と野生動物の宝庫から「 ヘブリディーズの女王 」とい別名があります。 人口約3,500人にほどのアイラ島にはウィスキー蒸留所が8つもあり、世界でも稀なウィスキー島で、ウィスキーの聖地と言われています。

そしてボウモアはウィスキーの聖地の中にある8つの蒸留所の中で最古の蒸留所であり、「 アイラモルトの女王 」という別名を持っています。

1779年に設立され、1837年、1892年、1925年、1949年、1963年、と経営悪化などで所有権が多くの企業へと移り、第二次世界大戦では英海軍の飛行艇の訓練基地として使用されました。 そして1989年にサントリーが30%の資本算入を経て、1994年に完全子会社化しました。

ボウモアには海にせり出すように建てられた貯蔵庫があり、その貯蔵庫が作り出す潮の香りを吸い込んだウィスキーが特徴的で、 所有権が移っても変わらず製法と風味を守り抜いてきたのです。

全体的にライトな印象がありますが、複雑なコクの味わいに、フローラルとしっかりとしたピート香を感じられます。アイラを代表するシングルモルトウィスキーです。

ラガヴーリン Lagavulin

生産エリア = アイラ島 Islay
Scent = Smokey・強 Body = Heavy・中

アイラモルトを代表するもう一つのウィスキー。 1816年に地元の農業経営者兼蒸留職人でもあった「 ジョン・ジョンストン 」が合法な蒸留所を創業しました。 その後グラスゴーを本拠地としていた商人の「 アレクサンダー・グラハム 」に責務を負います。 そしてジョンストンの死後にグラハムはジョンストンの蒸留所と、もう一つの蒸留所を持ち、二つの蒸留所を統合し、ここからラガヴーリンの歴史は始まりました。

特徴は、やはりアイラモルトの中でも最もリッチで重厚な点。 広大とも言えるピートのスモーキーさで、スモーキーさだけでなくドライさも持ち合わせており、その両方が魅力的な個性を生んでいます。アイラの特徴ともいえる海藻の香味と広大なフィニッシュを持ってもいます。

オレンジ、ダークチョコレートの優しさと甘味を感じられ、上品なピート香の余韻が長く続くところも魅力的です。 完成度の高いウィスキーで、他のシングルモルトよりも値段が高いことが多いですが、シングルモルト好きならば何時かは飲んでみたい一本です。

スプリングバンク Springbank

生産エリア = キャンベルタウン Campbeltown
Scent = Fruity・強 Body = Heavy・中

1828年レイド家によってスコットランド南西部にあるキンタイア半島に設立されました。 その約10年後には姻族に当たるミッチェル家に所有権が移り、1872年にはミッチェル兄弟の仲違いによって分裂しました。

そして19世紀後半にキンタイア半島の港町とウィスキー蒸留所は最盛期を迎えます。 キンタイア半島は陸路としては不便ではあったものの、国内の大都市であるグラスゴーが近く、船を出せば北アイルランドやイングランドにもすぐには入れることから、発展しました。小さな港町ではあるものの、蒸留所の数は最大で20を超えるほどまで増えたそうです。

キャンベルタウンから、スコットランド国内、イングランドなどのイギリス諸国、カナダ、アメリカの国々に520万リットルものウィスキーが輸出されていました。しかし第一次世界大戦後の世界恐慌、アメリカ禁酒法、地元の石炭の高騰などの影響を受け、キャンベルタウンの港町は急速な衰退をみせ、1934年にはわずか2つの蒸留所しか残っていませんでした。 その後輸出業も陸路の利便性の向上や、空路の発展により元に戻ることはありませんでした。そして現在では3つの蒸留所が現在も稼働しており、スプリングバンクは、高い品質を追い求め、変わらない伝統を守り続けてきました、それが激動の時代の中でも生き残った証です。

スプリングバンク蒸留所は、大麦の製麦からボトリングまでの全工程を自社内で行っている現在スコッチウィスキー蒸留所で唯一の蒸留所で、フロアモルティングを行っている蒸留所は幾つかありますが、生産の100%の量を行っているのはココのみです。 手法だけではなく、設備も1828年当時から使われているものもあり、「 操業している博物館 」と言われています。

特徴は、レモンやメイプルシロップの様な香りに、ハチミツやオレンジの風味を感じられ、スプリングバンク最大の特徴ともいえるピリッとした塩気を感じることができます。 別名「 モルトの香水 」と言われるほど香り高く個性的なシングルモルトです。

スコッチ・ウィスキーの主な銘柄 「 ブレンデッド 」

ジョニーウォーカー Johnnie Walker

Scent = Smokey・中 Body = Heavy・弱

1820年ジョン・ウォーカーは、14歳という若さながら父親から受け継いだ農場を売却し、食料雑貨店を開業。 取り扱っていた紅茶やスパイスのブレンディングにヒントを得てウィスキーもブレンドすることを試みました。 当時難しかった品質の安定を高い水準で可能にし、複数のウィスキーをブレンドすることによって奥深い風味などが生まれ、ジョンの店で販売されているウィスキーは瞬く間に高い評価を得ます。

1867年、ジョニーウォーカーは史上初のウィスキー大量生産に取り組みます。ウィスキーの品質や安定といったウィスキー自体へこだわりのみではなく、瓶やラベルを斜めの形にするといったデザインにも力を入れました。

船で運ぶ際に、通常の円柱の瓶だと箱の中で余白が出るため、割れやすい事と、一つの箱の中に一本でも多く積めるようにという理由から瓶を四角い形に変えます。こういった画期的な取り組みから、当時船で行ける場所には必ず飲まれているようにまでなりました。そして現在では1,760万ケースというスコッチウィスキー出荷量年間第1位を記録し、「 世界で一番飲まれているスコッチウィスキー 」という称号を得ています。 ちなみにスコッチウィスキー出荷量第2位のバランタインがおよそ700万ケース( 2020年 )2位との差が約2.5倍以上という圧倒的な差で出荷しています。

特徴は穏やか、スモーキー、気品のある植物油の香りに、ミディアムボディで、甘味と辛味のバランスが良い風味が特徴的な万人受けが良いブレンデッドスコッチウィスキーです。

バランタイン Ballantine's

Scent = Fruity・弱 Body = Heavy・弱

1822年バランタインの創始者となる「 ジョージ・バランタイン 」は13歳という若さで住み込みでの仕事をするためにエディンバラへと向かいます。 1824年にウィスキー密造時代が終わり、認可を受けた蒸留所が次々と誕生していた中、1827年住み込みの仕事を終えたジョージはエディンバラで小さな食料品店を開業。 その後大好評となり、9年後には由緒あるサウスブリッジに店を構え、貴族や上流階級を相手に、高級ウィスキーや高級食料品を扱い商売を繁盛させました。

1853年、エディンバラでウィスキー商を営む「 アンドリュー・アッシャー 」がブレンデッド・ウィスキーを開発。 その友人であったジョージはこの発見と苦心談に閃き、ジョージの息子に商売を任せ、グラスゴーに移り住み、ブレンデッドの技術、知識、経験を深めます。 そして「 バランタイン 」は独自のブレンデッド・スコッチを完成させます。 後にこのブレンデッド・スコッチは、バランタイン17年の礎となります。

1895年ビクトリア女王がグラスゴーを訪れ、バランタイン社に王室御用達の称号を授与するという一大事が起きます。 そのことがキッカケとなり、バランタインは世界的な発展をするようになりました。

特徴は麦芽の甘い香りとフルーツの香り、チョコレートなどの香ばしさでありながら爽やかさも感じられる香りに、深いまろやかさと、チョコレートの様な甘味とスモーキーさが口の中に広がる風味が感じられます。世界中で飲まれている原因の一つでもあるバランスの良さが最大の特徴です。

シーバスリーガル Chivas Regal

Scent = Fruity・強 Body = Light・弱

1800年代始め頃、スコットランドの人里離れた農家で生まれたジェームスとジョンのシーバス兄弟は、故郷を出てアバディーンで住みはじめます。兄のジェームスは、高級食料品店で働き始め、そこで経験したことのない味や香りの虜になり、商人として評判を上げ、弟のジョンを招き「 シーバス・ブラザーズ 」社を立ち上げました。

彼らには「 成功は分かち合ってこそ 」という考えが根にあり、食料品関係のみではなく、教会の補修や、王室診療所の管財人になったりと、幅広く活躍をして多くの人達と喜びを分かち合っていました。

ある時顧客の要望を受け、彼らは熟成したウィスキーのブレンディングを始め、ウィスキーに滑らかさと調和をもたらします。 そこから取り扱う商品の上質さや豪華さで一躍有名になり、世界中から注文が来るようになると、1843年に英国王室御用達の栄誉に輝きました。

1909年初代マスターブレンダーであるチャールズ・ハワードとアレキサンダー・スミスが世界初のラグジュアリー・ウィスキーである25年熟成のシーバスリーガルを世に送り出したのをキッカケに世界進出するために動き始めます。 その第一号として、アメリカ・ニューヨークを選び、評判を上げることに成功するのです。 しかし成功の興奮が冷めないうちにアメリカ禁酒法を迎え、市場から姿を消しました。 しかし1938年、シーバスリーガルは12年熟成の商品を看板としてニューヨークで復活を果たしました。

特徴は、洋ナシやリンゴの甘い香りに、削りたての白木の香りもします。 しっかりとした味わいと微かに甘草の風味があります。 滑らかで飲みやすいため、ロックスタイルがおすすめです。

カティサーク Cutty sark

Scent = Fruity・弱 Body = Light・強

1920年代の禁酒法時代のアメリカを徹底的に市場調査を行い、ウィスキーのライトタイプでナチュラルなカラーを前面に出したウィスキーを輸出しようと計画していました。 ネーミングは1887年にオーストラリア・イギリス間を69日で結び、当時最速記録を出した快速帆船の名前「 カティサーク 」号を採用し、その快速帆船のイメージ通りの爽やかさで世界中に輸出されています。

上品な甘味と柑橘系とフルーティーな香りを持ち、ライトでスムースなキレの味わいが特徴的です。

全体的にライトさとバランスの良さが目立ち、ロックやストレートよりはハイボールやトニックウォーター割りなどをおすすめします。

オールドパー Old parr

Scent = Fruity・弱 Body = Heavy・弱

1870年代初めに創業者であるグリーンリース兄弟は、当時流行であったブレンデッド・ウィスキーを手掛け、独自のブレンデッドスコッチウィスキーを完成させます。

このウィスキーを末永く後世に伝えたいという願いを込めて、ロンドンでは有名であり最長寿者である「 トーマス・パー 」の異名である「 オールド・パー 」の名前をウィスキーに与えました。

トーマス・パーとは1483年~1635年( 152年9カ月 )という長い期間生きていたと言われる人物です。15世紀~17世紀という長い期間を生存していたとはちょっと信じがたいですが、実在した痕跡や記録、お墓も残っているそうです。

クラックルパターンと呼ばれるひび割れたような模様と、斜めにしても倒れないことが特徴で、この斜めにしても倒れないということが「 右肩上がり 」や「 倒れない 」という縁起物として政治家などに飲まれてきました。ラベルにはもちろんトーマス・パーが描かれているのも特徴です。

特徴はまろやかさとフルーツの香りを持ち、甘味とミディアムボディのしっかりとした風味を感じられます。 クラシック・ウィスキーを代表する美味しさは、飲む人を選びません。 お湯割りやロックで飲むことをオススメします。

デュワーズ Dewar's

Scent = Fruity・中 Body = Light・中

1846年、「 ジョン・デュワー 」氏によって製造が始まりました。 そのジョン・デュワーの息子であるトミー・デュワーが引継ぎ、巨大なネオン看板、映画などを利用した大規模な広告によって大幅に認知が高まり、世界的なブランドになりました。

特にスコッチ・ウィスキー消費大国であるアメリカで大きなシェアを占め、販売数でも世界有数の地位にまで上り詰めました。現在ではラムで有名なバカルディ社の主要ブランドとして、世界中で販売されています。

特徴は何といってもモルトウィスキーとグレーンウィスキーをブレンドした後、もう一度樽へ入れ熟成させるという「 ダブルエイジ製法 」です。 この製法で滑らかな味わいが格段に上げさせることができました。 穏やかでしっとりとした香りに、ライトボディでスムーズ、スパイシーな味わいを持ち、全体的にバランスが良く飽きの来ない一品です。

ウィスキー・ハイボールの誕生にはいくつかの説があり、このデュワーズがその一つとなっています。トミー・デュワーがお店でウィスキーを注文すると、小さなグラスで出されたことに不満を持ち、「 もっと背の高いグラスにしてくれ、そうすればもっと楽しめる 」とグラスを変えたそうです。
これを英語にすると、「 Get me a taller glass so I can enjoy it more 」になりますが、大いに楽しむという言葉を「 have a ball 」と表現するそうです。 このときの ball は玉やボールではなく、舞踏会のことを指すそうで、背の高いグラス「 high glass 」と大いに楽しむ「 have a ball 」を合わせて「 high ball ハイボール 」が誕生したという起源説があります。

まとめ

ウィスキーには世界5大ウィスキーと言われる5種類のウィスキーがありますが、その中でもスコッチ・ウィスキーは特別な存在です。 現在世界的にも評価されているジャパニーズウィスキーも、最初はスコッチウィスキーを学ぶことから始まっています。 ウィスキーをこれから始める方は、まずスコッチから始めてみてはいかがでしょうか?

おすすめのカクテル本

監修:土屋 守
¥1,650 (2024/07/26 10:33時点 | Amazon調べ)
目次