アイリッシュ・ウィスキーの特徴と主なブランド・種類|カクテルのお酒・ウィスキー編

[ スポンサーリンク ]

[adcode]

目次
[ スポンサーリンク ]

アイリッシュ・ウィスキーとは?

アイリッシュウィスキーとは世界5大ウィスキーの一つで、アイルランド産のウィスキーです。 アイルランドとは、日本の北海道と同じくらいの面積がある島で、北側の島面積約1/6がイギリス領の北アイルランド、南側がアイルランド共和国となっています。アイリッシュウィスキーは、この島( 国ではなく島全体を指す )で生産されたウィスキーのことを指します。

1800年代に麦芽にかかっていた税金が増税されたことをキッカケに、多くの蒸留所は大麦、小麦、ライ麦などの増税がされていない穀物の使用量を50%以上にして経費削減を行いました。 これが現在まで続き、アイリッシュ・ウィスキーの特徴の一つであるフレーバーを出しています。

他には蒸留回数が多いことで滑らかな味わい、基本的にはピートが焚かれないため原料の穀物が持つ芳醇な香りが個性となって表に出ていることがアイリッシュ・ウィスキーの特徴です。

〚 アイリッシュ・ウィスキーの定義 〛

  • 原料は穀物類を使用する。
  • 麦芽に含まれる酸素により糖化酵母の働きにより発酵させる。
  • アルコール度数94.8%以下で蒸留し、香りと味を引き出す。
  • 木製の樽に詰めること。
  • アイルランド共和国、北アイルランドにある倉庫で3年以上熟成させる。

[ スポンサーリンク ]

[adcode]

アイリッシュ・ウィスキーの歴史

スコッチウィスキーと並び世界最古のウィスキーです。 「 スコッチウィスキーと並び 」というのは、誕生したのがスコットランドなのかアイルランドなのか現在でも確定していないからです。

伝承によると6世紀頃に中東を訪れたアイルランドの修道院が、蒸留技術を用いて香水をつくっていたそうで、この蒸留技術を持ち帰り、お酒を造る技術に応用したのがアイリッシュ・ウィスキーの始まりです。

ヘンリー2世によるアイルランド遠征の際に、家臣からアイルランドで大麦から蒸留したお酒が飲まれていたという記録があったそうですが、現在確認できる資料などは存在していないため信憑性が無く確定には至っていません。

数あるアイリッシュ・ウィスキー蒸留所の中で、オールド・ブッシュミルズ蒸留所が1608年という最古の公認蒸留所( 上記写真 )と言われています。 1608年に公認になったと言われてはいますが、1608年にブッシュミルズという蒸留所が存在していたかはこれも不確かで、確認が取れているのは1784年だそうです。 しかしブッシュミルズが古くから伝統を引き継ぎ、アイリッシュ・ウィスキーの厳しい歴史を生き抜いてきたのは事実です。

アイリッシュ・ウィスキーはかつて世界一の生産量を誇っていたウィスキー大国ですが、歴史の波に乗ることができずに衰退をしていきました。

その衰退をした理由が1831年に実用化された「 連続式蒸留機 」の誕生で生まれたブレンデッド・ウィスキーの存在です。 スコッチ・ウィスキーはこの大量生産、コスト削減ができるブレンデッド・ウィスキーを取り入れ、その市場が大きく成長すると、伝統的な手法に固執したアイリッシュ・ウィスキーは、ブレンデッド・ウィスキーのみではなく、伝統的なシングルモルトも伸び、大きく差を付けられてしまいました。

次に歴史の波が押し寄せたのは、1919年に始まったイギリスからの「 独立戦争 」です。 国内は疲弊したことに加え、大英帝国のウィスキー商圏から閉め出され、つくっても売る場所が限られていたのです。 このことにより多くの蒸留所が閉鎖に追い込まれました。

そして3つ目の波は「 アメリカ禁酒法 」です。 アイルランドにとって最後で最大ともいえる輸出先であったアメリカが禁酒法をスタートさせてしまい。 もはや国外に輸出する場所がほぼなく、とどめの一撃となってしまうのです。

しかし伝統的なアイリッシュ・ウィスキーはこの後からゆっくりと復活の道を歩みます。 アイリッシュ・ウィスキーの原点であるポットスチル・ウィスキーとその製造方法は、他のウィスキーにはない個性があり、世界のウィスキーファンが注目を集め始めます。 そして現在ではアイリッシュのブレンデッドの生産も多く行われ、1990年代後半までは、年間200万ケースの輸出だったのが、2010年頃には1,200万ケースにまで増え、世界一の生産量を誇っていた時代までではありませんが、見事復活したのです。

[ スポンサーリンク ]

[adcode]

アイリッシュ・ウィスキーの種類

アイリッシュ・ウィスキーには大きく分けて4つの種類に分けられます。

  • ポットスチル・ウィスキー・・・アイリッシュ・ウィスキーの独特な風味を代表するのがこのポットスチルウィスキーです。 モルトにした大麦麦芽と、モルトにしていない大麦を混ぜ合わせることと、スコッチウィスキーよりも大きめの単式蒸留器で3回蒸留することで、アイリッシュウィスキー独自の特徴ともいえるオイリーなフレーバーと滑らかな風味が生まれます。
  • モルト・ウィスキー・・・・・・スコッチウィスキーと同じ製法で、原料はモルトのみを使い、単式蒸留器で2回~3回の蒸留が行われます。 別名シングルモルト・アイリッシュ・ウィスキーとも言われます。
  • ブレンデッド・ウィスキー・・・ポットスチル、モルト、グレーンをブレンドしたウィスキー。ブレンドの方法などに決まりはありませんが、ポットスチル+グレーン、モルト+グレーン、モルト+グレーンの3つが一般的に行われています。
  • グレーン・ウィスキー・・・・・モルト + グレーンの組み合わせを連続式蒸留器で蒸留したウィスキー。

アイリッシュ・ウィスキーの特徴と言えば、やはりポットスチルウィスキーです。
100%大麦を使いながら、モルトしたものとしていないものを混ぜ合わせ、ポットスチルで蒸留をします。 するとオイリーで滑らかでありながらピリッとした味わいを生み出します。 これがアイリッシュ・ウィスキーの最大の特徴と言えます。 アイリッシュ・ウィスキーを味わいたいなら、まずはポットスチル・ウィスキーをおすすめします。

1960年~1970年の頃にアメリカ市場に向けブレンデッド・ウィスキーの必要性が生まれ、製造を開始します。 スコッチ・ウィスキーと比べ、グレーンの種類はないものの、アイリッシュ独自のポットスチルを原酒とし、そこにグレーンを混ぜることでアイリッシュ独特のブレンデッド・ウィスキーが誕生したのです。

[ スポンサーリンク ]

[adcode]

アイリッシュ・ウィスキーの主な蒸留所

ブッシュミルズ

1608年に「 トーマス・フィリップス 」氏が蒸留免許を交付され操業したアイルランド最古の蒸留所となっています。ただ1608年の資料が残っていないため、あくまで「 自負 」となり、確かな記録が残っているのは1784年だそうです。
それでも歴史は古く、アイルランドの指折りの蒸留所であることには変わりません。

3回の単式蒸留を専門にしている蒸留所で、過去にピュアポットスチルタイプを造っていましたが、その後、長年に渡りブレンデッド・ウィスキーを出荷していましたが、最近になりシングルモルト・ウィスキーも流通を始めています。

ミドルトン

1825年にスタートし、1975年に世界最大級の蒸留器を有する蒸留所を建設しました。

4種類の単式蒸留器により様々な原酒を造り出し、様々なアイリッシュウィスキーの元となっています。 その中にはジェムソン、パディー、パワーズなどのアイリッシュウィスキーを代表する銘柄もいくつか含まれています。

原酒のみではなく、他にもピュアポットスチル・ウィスキーも手掛けている大御所の蒸留所です。

[ スポンサーリンク ]

[adcode]

アイリッシュ・ウィスキーの主なブランド

ジェムソン Jameson

種類 = ブレンデッド
Scent = Fruity・中 Body = Light・強

1780年に操業を開始したジェムソン。 創業以来「 シネ・メトゥ(恐れ知らずの意 )」を胸に2度の世界大戦、アイルランド内戦、アメリカ禁酒法とアイリッシュ・ウィスキーの冬の時代を乗りえてきました。 ラベルにある紋章は、ジェムソン家の先祖が海賊と戦い勝利した証としてスコットランドの王様から授かった紋章で、紋章の下には「 SINE METU 」我に恐れるものなしという言葉を記載しています。

このジェムソン家のコンセプトこそが、アイリッシュNo.1ウィスキーの地位を築いてきた土台なのです。

ジェムソン・ウィスキーは、モルトと未発芽の大麦を使用し、ポットスチルで風味の豊かなウィスキーを製造し、上質なグレーン・ウィスキーとブレンドして3回蒸留し、滑らかさを出しています。

ジェムソンの大麦は全て国内産。水は蒸留所の敷地を流れるダンガーニー川の水を使用。 トウモロコシはアイルランドで育たないため、フランスの南部にある農家と契約し、そこから仕入れた物しか使用しないという原料にこだわりを持ったウィスキーです。

ブッシュミルズ Bushmills

種類 = ブレンデッド
Scent = Fruity・中 Body = Heavy・弱

1608年に蒸留所として国の認可を貰ったとされている( 記録に残っているのは1784年 )世界最古の蒸留所です。
1784年に「 ヒューアンダーソン 」によって設立され、多くの閉鎖期間を伴う年がありはしましたが、1880年有限会社を設立しました。
約10年後の1890年にはブッシュミルズが所有する蒸気船が大西洋を横断し、アメリカ・ニューヨーク市、シンガポール、上海、そして横浜に届けることに成功します。

アイリッシュ・ウィスキーの大打撃の時代とも言うべき1920年のアメリカ禁酒法が始まり、次々と蒸留所が閉鎖に追い込まれていく中、ブッシュミルズは何とか持ちこたえます。 持ちこたえるのみではなく、当時のディレクターはアメリカ禁酒法の終わりを予想しており、大量のウィスキーを準備しているほどの周到さも持ち合わせていたのです。

アイリッシュ・ウィスキーの長い冬の時代が続く中、ブッシュミルズはアイリッシュ・ウィスキー復興の兆しを見せます。 モルトウィスキーとグレーンウィスキーを混和するブレンデッドをいち早く取り入れたのです。 これをキッカケにブッシュミルズはアイルランド内第3位の売り上げを誇り、アイリッシュ自体も世界で多くの人に飲まれるようになったのです。

特徴はアプリコットのような上品なフルーツの香りに、甘味と熟成された深みが特徴的です。 ドライさのバランスが良く、後味のスパイシーさもクセになる一品です。

タラモア・デュー Tullamore D.E.W

種類 = ブレンデッド
Scent = Fruity・中 Body = Light・強

タラモア・デューはウィリアム・グラント & サンズ社が製造しているアイリッシュ・ウィスキーの中で2番目に製造・販売をしているブランドで、2015年には年間950,000ケース以上を販売しています。

1829年に「 マイケル・モロイ 」氏によって設立されました。 マイケル氏の死後蒸留所は甥の「 バーナード・デイリー 」氏に受け継がれ、「 ダニエル・E・ウィリアムズ 」を蒸留所の責任者になると、蒸留所は拡大し繁栄をしました。 彼の功績を称えダニエル氏のイニシャルであるD.E.Wを付けて販売するようになりました。

1954年、アイリッシュ・ウィスキーはアメリカ禁酒法と英国アイルランド貿易戦争、高税で冬の時代を過ごします。 このタラモア・デューも例外ではなく販売成績は悪化の一方です。
1960年代に蒸留所を再開するのではなく、ジョン・パワーズ & サン社に売却することを選択し、最終的には他の2つのアイルランド蒸留所と合併することとなり、場所もミドルトンに新しく建設された蒸留所に移ることとなりました。

そして2010年に現在のウィリアム・グラント & サンズ社が権利を買い取ります。 ウィリアム・グラント & サンズ社はこのタラモア・デューに大幅な成長が予想されたため、外部委託ではなくタラモアに新しい蒸留所を建設し、あくまで自社蒸留にこだわり、現在の成功を納めています。2005年の販売数に比べると約2倍以上の販売数を誇り、アイリッシュ・ウィスキーの復興の礎となったいくつかのブランドの一つです。

特徴は爽やかなフレッシュフルーツの後に焦げた木の香りを感じられ、しっかりとした甘味はバニラのような甘味持ち、バランスの良さを楽しめる一品です。 まずはロックスタイルでお楽しみください。

カネマラ Connemara

種類 = シングルモルト
Scent = Smokey・弱 Body = Light・弱

1987年にクーリー半島にあったスピリッツとアルコール燃料を製造する国営工場を「 ジョン・ティーリング 」が買収しました。 ティーリングはアメリカのNo.1の大学と言われるハーバード大学で、自身の祖国であるアイルランドのウィスキーがブランド力を失っていたのを再興しようと歴史研究を行った人物です。
そしてティーリングは、アイリッシュ・ウィスキーの再興をコンセプトにクーリー社を設立し、事業をスタートさせます。

新しいポットスチルや、元々あった連続式蒸留機を使い、様々な取り組みが行われます。 通常ピートは焚かず、蒸留も3回おこなうアイリッシュには珍しく、ピートを焚いて蒸留を2回行うといったスコッチ・ウィスキーに近い製造方法を取り入れます。そんな行いから別名「 アイリッシュの革命児 」と言われるようになります。

他にもグレーン・ウィスキー、ブレンデッドも製造しており、歴史は浅いですが、歴史を学んだことから逆に歴史に捕らわれず、様々な取り組みのおかげで国際的なコンテストで受賞しており、現在も注目を浴びているブランドです。

特徴はピートを焚いていることからアイリッシュには珍しいスモーキーを感じることができます。 それでいてフレッシュでフルーティーな部分もあり、ドライな後味から爽やかさも併せ持つ複雑な味わいが特徴的なアイリッシュ・ウィスキーです。

Photo = 画像提供 SUNTORY

ティーリング Teeling

種類 = シングルモルト
Scent = Fruity・弱 Body = Light・中

ティーリング・ウィスキー・カンパニーの歴史は、1782年に「 ウォルター・ティーリイング 」氏がアイルランドの首都ダブリンで始めます。

しかしアイリッシュ・ウィスキーの冬の時代は他と同じようにティーリングにも襲い掛かり、19世紀~20世紀にかけてダブリン市内のウィスキー蒸留所は全て閉鎖してしまいます。 しかしそれから40年後、ティーリングはラベルに記載されている不死鳥のごとく蘇ります。

ただ蘇るだけではなく、ダブリン市内に新しく蒸留所ができたのは125年ぶりという新しく蘇ったのです。そして2019年にティーリングで蒸留したウィスキーが世に出ます。 現在も独立ボトラーズとしてアイリッシュの復活に力を注いでいます。

ハチミツのような甘さと、シトラスの香りを持ち、ライチや白ブドウと、ペッパーやビスケットのような味わいを感じられます。 全体的に若いモルトや、フルーティーさ、オイリーな甘味を感じ、ライトビター感が飲みやすさを演出している一品です。

関連記事・カクテルレシピ リスト

⇒ 画像 / タイトルをクリックでレシピリストページへ

〚 他のカクテル レシピリスト 〛

おすすめのカクテル本

監修:土屋 守
¥1,650 (2024/05/05 05:25時点 | Amazon調べ)
目次