クラフトジンの歴史・基礎知識|カクテルのお酒・スピリッツ編

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最近よく聞く「 クラフト 」その名前はジンにも使われます。 現在( 2022年 )世界各地でクラフトジンが作られるようになりました。 日本も例外ではなく、2016年に京都の蒸留所が初のクラフトジンを世に送ると、日本各地の蒸留所がクラフトジンを生産し始めました、そして大手飲料メーカーもクラフトジンに着手し、現在では様々なクラフトジンがスーパーなどでも見られるようになりました。

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クラフトジンとは?

広島県産・桜尾ジン

クラフトジンは厳密な定義やルールといったものは存在しません。 ジンとしての定義はありますが、そのジンの規則を守っていれば、他にクラフトジンとしての定義が必要というわけではないのです。 定義などの決め事はありませんが、方向性のようなものがあります。 一言で言うと「 コンセプト 」のようなものです、「 このジンはこの土地の名産素材を生かしてつくられたジン 」といった具合です。 例を挙げるならば、スコットランド産のヘンドリックスは、きゅうりと薔薇の花びらをボタニカルに使用し、独自の香りを作り出していますし、日本広島県の桜尾ジンは、広島県ならではの牡蠣の殻をボタニカルに使用しています。 そういったように各蒸留所ごとの個性を前面に出したものがクラフトジンという事です。

〚 クラフトジンの生産特徴 〛

  • 少量生産が多い( 大手が生産しているものもあるので、一概には言えませんが・・・ )
  • 各蒸留所のコンセプトがある。
  • 小さめの蒸留器が使われていることが多い。
  • 地元の名産などがボタニカルに使用されている。
  • 品質は高めで、ジンのカテゴリーの「 ロンドンジン 」に値する。

( ロンドンジンとは産地ではなく、品質で与えられるカテゴリー )詳しくは ⇒ コチラ

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クラフトジンの歴史

「 クラフトジン 」という言葉はおよそ 2015年辺りから使われるようになりました。 キッカケは、2000年に発売された「 タンカレーNo.10 」 高級志向でつくられたこのジンは、従来のタンカレージンよりも雑味が無く、上品に香るボタニカルが特徴で、この頃はクラフトジンではなく、あくまで高級志向の「 プレミアム・ジン 」として世に出たのです。 時を同じくしてスコットランドから「 ヘンドリックス 」が発売されました、これは通常ジンのボタニカルには使用しない薔薇やきゅうりを使い、その薔薇の香りときゅうりの清涼感が受け、数々の賞を受賞しました。

2006年にはフランスで、ボタニカルではなく、原料の穀物を変えることを行う蒸留所が登場します。 穀物ではなくブドウをベーススピリッツの原料とした「 ジーヴァイン・ジン 」が発売されます。 ユニ・ブランという品種のブドウをベースに使い、そのユニ・ブランの花をボタニカルに使うという新しく合理的なこのジンは、口当たりは甘く柔らかい香りがするのが特徴です。

クラフトジンは少しずつヨーロッパを中心に広がりはじめ、ついにジンの本場ロンドンで新しいジンが登場します。 200年もの間ロンドンには新しく蒸留所が造られませんでした。「 ロンドンにジンを取り戻す 」というコンセプトのもと、ロンドン市内につくることを政府に許可をもらい、上質なジントニックに向きのジンを開発。 ジュニパーベリーの香りを芯に、他のボタニカルの香りもしっかりと感じられる正統派ともいえるプレミアム・ジン「 シップスミス・ジン 」を発売しました。

クラフトジン・プレミアムジンの新しい生産ブームは様々な影響を与えます。 大手ジンメーカービーフィーターは、「 ビーフィーター24 」というプレミアム・ジンを、ドイツでは47種類ものボタニカルを使用した「 モンキー47 」を発売。 影響はジン業界に留まらず、ウィスキーで有名なアイラ島からも植物学者を使いボタニカルにこだわり、植物学者という名前をそのままジンに付けた「 ザ・ボタニスト 」を発売。 フランスのブランデーでをつくる地方で有名なコニャックからも「 シタデル・ジン 」を発売。 アメリカからもウィスキーをつくる会社から「 コーヴァル・ジン 」を発売。という風にジンの蒸留がブームとなりました。2016年になってようやく日本もジンの蒸留を製造する会社が出ます。 京都にジン専門の蒸留所「 京都蒸留所 」が設立、「 季の美 」が発売。それ以来日本でも約30カ所でジンが蒸留され始めました。

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日本のクラフトジン

2016年に京都蒸留所で「 季の美 」が生産されたのを皮切りに、日本各地で生産されるようになり、 大手飲料メーカーもこの波に乗り、現在ではスーパーで度々見かけるようになりました。

日本のクラフトジンには大きく分けて2つの特徴があります。

〚 日本のクラフトジン特徴 その1 原酒 〛

ジンの原酒( ニュートラルスピリッツ )は通常穀物が使用されます。 その無味無臭のニュートラルスピリッツとジュニパーベリーを主としたボタニカルを再度蒸留することでジンに香りを付けます。 しかし日本には元々焼酎や泡盛といった蒸留酒が存在しており、これらをそのままジンの原酒として使用しているジンが日本にはあります。元々香りが付いている蒸留酒を原酒として使用することは世界では珍しく、日本特有のジンとしてその存在感を高めています。

〚 日本のクラフトジン特徴 その2 ボタニカル 〛

クラフトジンと特徴の一つである、その土地特有の素材を使っていることが2つ目の特徴です。 日本ならではの桜、玉露柚子山椒などの素材を生かし、香り高いクラフトジンが世界でも高評価を得ている理由です。 日本人がクラフトジンをすんなり受け入れられたのも、日本ならではの素材を生かしたからではないかと思います。

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クラフトジンの主なブランド

シップスミス Sipsmith

原産国 = イギリス・ロンドン

ロンドン市内に2009年という最近に創立された蒸留所です。 ロンドン市内に蒸留所が誕生するのは200年ぶり。 銅の蒸留器で雑味を排除し、世界中から厳選された10種類のボタニカルで、早くも世間からの評価は高い。

キレが良く、ジュニパーベリーの香りが強いのが特徴。

Dry 中・Floral 中

オピア Opihr

原産国 = イギリス・ウォーリントン

ラベルに表現されているオリエンタルなデザインは、このジンにマレーシア、インドなどから厳選し、取り寄せているキュベブ、カルダモン、ペッパーといったオリエンタルなスパイスが使われている一風変わったジンだからです。

オリエンタルな香りもしかりと感じられ、一風変わったジントニックを試してみてください。

Dry 弱・Herbal 弱

ヘンドリックス Hendrick's

原産国 = スコットランド・ローランド

1999年に誕生したジンで、バラの花びらのエッセンスを使用して香水の様な香りを出し、きゅうりを使い青臭さを少しだけ残し、みずみずしさを兼ね備えた飲みごたえのある珍しいタイプのジンです。

ラベルの裏面には「 It is not for everyone( 全ての人に向けたものではない )」つまり万人受けは希望していないというこだわりと自信が表記されているのも珍しい一品です。その自信は2017年にコンペティションでゴールドメダルを獲得するという事で証明されています。

Sweet 弱・Herbal 弱

アイル・オブ・ハリス Isle of harris

原産国 = イギリス・ハリス島

ボトルのデザインは島ならではの穏やかな波をモチーフにしているのでしょうか? このジンの特徴は、最初の口当たりに甘味を感じること、海藻を使っているためなのか、海藻感とコクも感じられる点です。

Sweet 弱・Floral 中

ザ・ボタニスト The botanist

原産国 = スコットランド・アイラ島

スコットランド・アイラ島といえばウィスキー蒸留が盛んな島。 その島内にジンの蒸留所を設立。 アイラ島に自生するボタニカルを島内に在住している植物学者に依頼し、収集。 その島内に生息している珍しいボタニカルをふんだんに使い、クセが無くジュニパーベリーが優しく香るジンが誕生しました。

Dry 中・Herbal 中

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モンキー47 Monkey 47

原産国 = ドイツ・シュヴァルツヴァルト

モンキー47のモンキーは、第二次世界大戦時イギリス軍・コリンズ中佐が退役後もドイツに残り、可愛がっていた赤毛猿と共に住み、森で採れたボタニカルをもとにジンを作っていたそうです。

香りが強いことと、キレがあるのがこのジンの特徴で、モンキー47の47は、47種類ものボタニカルを使用していることに由来しています。

Sweet 中・Floral 強

シタデル Citadelle

原産国 = フランス・コニャック

ブランデーの生産で有名なコニャック地方の現在もコニャックを生産している会社がつくったジンです。 19種類ものボタニカルを使い、バーテンダーが選ぶジンのコンペティションで金賞の受賞歴があります。

甘めの口当たりに、香り、味共に洗練されていることから、他の材料との相性も抜群です。

Sweet 強・Herbal 弱

コーヴァル Koval

原産国 = アメリカ・シカゴ

元々はウィスキーを生産していた会社が、ジンを作り始めました。 現在はジンのみではなく、様々なリキュールも精査しています。

特徴は華やかな香りと、複雑な植物の絡みを感じられるところです。

Sweet 弱・Herbal 中

マーレ Mare

原産国 = スペイン・コスタドラダ

スペインにある小さな漁村でつくられているジン。 地中海という土地を生かした素材、オリーブ、バジル、タイム、ローズマリーなどをボタニカルに使用。 オリーブのハーバルや塩気も少し感じられる。

サイゴン・バイガー Saigon baigur

原産国 = ベトナム・ホーチミン

サイゴンとはベトナム・ホーチミン市の旧名称で、そのサイゴンに11世紀頃に存在していた町の名前がバイガー。

特徴ドラゴンフルーツ、バーズアイチリなどのベトナムが産地である素材をボタニカルに使用している点。 香り、口当たりとも他のジンにはないものがあります。

Dry 弱・Herbal 中

季の美 Kinobi

原産国 = 日本・京都

日本で初めてジンに特化した蒸留所で、京都に存在します。

柚子、檜、山椒といった日本の素材をボタニカルに使用。さらにベースのスピリッツは米を使用していることから、和へのこだわりを感じます。

飲み口がスッキリしていて、ほのかな柚子の香りを感じられるのが特徴。

Sweet 弱・Floral 中

 Roku

原産国 = 日本・大阪

飲料系企業大手サントリーが発売しているクラフト・ジン。 名前の「 六 」は、桜花、桜葉、煎茶、玉露山椒、柚子の六つの日本を代表する素材を使用していることから付いた名前です。

全体的に甘めなジンで、日本人には優しく懐かしい香り、まろやかさが特徴です。

Sweet 弱・Floral 強

桜尾 Sakurao

原産国 = 日本・広島

広島県の中国醸造が設立した蒸留所で生産。

ボタニカルの14種類の内9種類を広島県産のものを使用。 レモンや柚子などの柑橘系と共に、何といっても広島県らしく牡蠣の殻を使っているのが特徴的。舌ざわりは甘めで、ドライジンの正統派に近い味わいです。

Dry 中・Floral 弱

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まとめ・感想

その土地ならではの名産品であったり、地元に自生している植物を生かしたり、ニュートラルスピリッツ自体を変えてみたり、蒸留器を特別なものにしたりと、様々な製法、素材で多くの個性的ジンが世に出ています。 それらを色々吟味したり、情報を得たりして自分好みのジンを飲むという時代になっていくのではないかなぁと思います。

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