カクテルを作るときに欠かせない道具がいくつかあり、今回ご紹介するシェーカー( シェイカー )はその道具類の中でも代表的存在で、バーテンダーの代名詞と言っても過言ではない道具です。
カクテルブームを起こしたキッカケは様々ですが、薄暗く小さなお店でバーテンダーが、シェーカーを振る様が落ち着きがありカッコイイことがブームにした材料の一つだと思います。
それではシェーカーの利用目的、歴史、種類、使い方や振り方などを解説していきます。
シェーカーとは?
シェーカーのタイプは様々あり、金属製のひょうたんもしくは水筒のような形をした調理器具で、たまにガラス製の物も存在します。
シェーカーの利用目的は・・・
- 混ざりにくい材料( 比重が大きく違うお酒など、粉類、牛乳や生クリーム、鶏卵 )を混ぜる
- 材料を素早く冷却する
- アルコール度数の強いお酒をまろやかにする( お酒のカドをとる )
といった利用目的があります。 他にも牛乳や生クリームなどの材料を泡立たせることもできるので、カフェラッテのように泡立たせる利用目的もあります。
冷却について = シェーカーはただ材料をシェーカーに入れ、振っただけでは冷却はしません。 手で振るので体温が金属に伝わり、材料を逆に温めてしまいます。必ず氷を入れ、できる限り手とシェーカーの接触面積を減らすことが重要です。 カクテルの多くは温度が低いときに一番おいしく飲めるものが多く、冷却はカクテルにとって重要な要素なのです。
シェーカーの誕生
シェーカーが歴史上初めて使用されていたのは、紀元前7000年ごろの南アメリカ大陸という記録があるそうです。アルコール成分をちょっぴり含んだひょうたんの欠片が発掘され、お酒を混ぜていたことがわかったそうです。ただその後記録的なものが残っていないため、あまり使われなくなったと考えられており、現在のようなシェーカーは、16世紀辺りの大航海時代ではないかと言われています。
長い航海では、新鮮な水が手に入らず、船員たちは病気にかかりやすかったのです。そこで、ある海賊が病気予防のために、ラム酒と柑橘類のジュースを混ぜた飲み物を作りました。しかし、ただ混ぜるだけでは、材料がうまく混ざりません。そこで、医者たちは、薬を混ぜるために使っていたガラス瓶をヒントに、カクテルを混ぜるための道具を考案しました。これが、最初のシェーカーの誕生です。
そして19世紀になると、アメリカ・ボストンで飲食業界が活気づいていて、バーテンダーたちは新しいカクテルを生み出すためにさまざまな手法を試していました。その中で、カクテルを混ぜる際に使うための容器として、最初のシェーカーが考案されたのです。
この初期のシェーカーは、当初は金属製ではなく、ガラスや陶器で作られることもありました。しかし、後になって金属製のシェーカーが一般的になりました。シェーカーを使うことで、カクテルの材料をしっかりと混ぜ合わせ、氷を加えたり冷やしたりすることができるようになりました。
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シェーカーの種類
スリーピースシェーカー
ー スリーピースシェーカー・ スタンダードタイプ ー
スタンダードタイプは、丸い形状なので空気を含みやすく、材料も混ざりやすいです。
さらに手になじみやすく持ちやすいといった特徴があり、特にショートカクテルや、材料の少ないカクテルに向いてます。
扱いやすさはNo.1なので、初心者の方はこのスリーピース・スタンダード・タイプから始めることをオススメします。
スタンダードタイプの中でも容量によって大きさの種類があります。 基本的には、250ml・350ml・550ml・750mlとあり、使用者の手のサイズにもよりますが、手が小さめの人は350mlを、手が大きめの人は550mlをオススメします。
スリーピース・スタンダードタイプを容量に応じていくつか持っていれば、プロ仕様のバロンシェーカーや、さらに多くの容量が入るボストンシェーカーを持つ必要もありません。
ですがおすすめの揃え方はシェーカーは、スリーピース・スタンダードタイプの350mlと550ml、トロピカルなどの材料が多いカクテル用にボストンシェーカーを持っておくと便利に使い分けることができます。
ー スリーピースシェーカー・バロンタイプ ー
まず見た目は、フォルムが丸いスタンダードタイプに比べてバロンタイプは真っすぐに近いフォルムをしています。 この形により決定的にスタンダードタイプと違うものが「 音 」です。スタンダードタイプは「 シャカシャカ 」という音がしますが、バロンタイプは「 カクカク 」「 カコカコ 」といった音がします。
真っすぐに近いかたちにはデメリットもあり、指が引っ掛かりにくく、中で氷が安定しないためシェークの難易度が大きく上がります。 上級者向けのシェーカーで、プロはこの気持ちの良い音に魅了されてか、使用する方が多いです。
ツーピース( ボストンシェーカー )
ー ツーピースシェーカー・スタンダードタイプ ー
別名「 ボストンシェーカー 」と呼ばれるスリーピースよりも大きいサイズのシェーカーです。
トロピカルカクテルや、ロングカクテルなどの比較的混ざりやすく、材料の量が多いときに向いています。 シェーカーを振る技術もスリーピースタイプに比べて難易度が下がるため、こっちから始める人も多いようです。
持ち方もスリーピースよりも様々で、バーテンダーによっていろいろな持ち方と振り方を楽しめます。 ただ、スリーピース同様氷を中で回すことを忘れないようにしましょう。
カクテルブームの火付け役となったトム・クルーズ主演映画「 カクテル 」では、このボストンシェーカーが使われ、踊るように材料をシェーカーに入れ、2人でシンクロしながらカクテルを作る様はとてもカッコよく、当時衝撃を受けました。
ー ツーピースシェーカー・スケルトンタイプ ー
「 スケルトン・タイプ 」とありますが、全部がスケルトンなわけではなく、上記の写真にあるように片方のピース( 小さい方 )のみガラス製になっています。
小さい方はタンブラーグラスとなっていて、そのまま飲むこともできます。ただ、小さい方がガラス製になっていて、ガラスの厚みが薄いと割れてしまいますので、厚みがあるガラスになっています。そのせいで重く、手を滑らすと事故になりかねないので、初心者の方にはあまりオススメしません。
シェーカーの振り方
スリーピースシェーカーの使い方
〚 Step 1 = 蓋を閉める 〛
まずはスリーピースシェーカーの部位名称です。
材料を入れるための「 ボディ 」部分、カクテルを注ぐときに氷が落ちないようになっている網状の「 ストレーナー 」、一番上の頭部分の蓋が「 トップ 」とパーツが3つあるという形のものをスリーピースタイプと呼びます。
- ボディに材料や氷を入れる。( 氷はボディの 7割~8割くらいを目安に入れます )
- ボディにストレーナーを被せ、左手でストレーナーを押さえて左手の甲( 手首に近い辺り )を右手でトントンと叩きストレーナーを押さえる。( ストレーナーを直接叩くのはNG )
- トップをストレーナーに取り付ける。( 強く抑えず、キュッと入れ込む程度でOKです )
〚 Step 2 = 持ち方 〛
スリーピースタイプのシェーカーの持ち方です。
右利き用( 左利きの方は逆 )
- 左手 ・親指 = ストレーナーのくぼんだ場所 ( ストレーナーを押さえる役割 )
- 左手 ・人差し指 = ボディ
- 左手 ・中指 = ボディ底を押さえるように
- 左手 ・薬指 = ボディ( 振る際に下になる場所へ指を曲げて支える )
- 右手 ・親指 = トップを押さえるように
- 右手 ・人差し指 = ボディ
- 右手 ・中指 = ボディ
- 右手 ・薬指 = ボディ( 振る際に下になる場所へ指を曲げて支える )
特に持ち方に決まりがあるわけではありませんので、自分で持ちやすい持ち方で振れば良いと思います。ただシェーカーに手のひらを前面に付けてしまうと、手がかなり冷たくなりますし、材料の温度が下がりにくくなるため、シェーカーを持つ時には、面ではなく点で持つように心がけましょう。
〚 Step 3 = 振り方 〛
まずシェーカーは体の正面で振るのではなく、体から正面45℃に構えます。
- 上記の持ち方で、胸の前に持っていき、そこを中心として上前方へ斜めに押し出すように、そのまま胸に戻して、今度は下前方へと押し出すように振ります。 横から見るとひらがなの「 く 」の字を作るように振ります。
- 上前方、下前方へ出す際には手首を前下へ曲げるようにします。
- この動作を1セットとし、比較的混ざりやすい材料であれば 7~8セットあまり強く振らずにシェークを行います( 強く振ると、中の氷が砕けます )
混ざりにくい材料の場合は、12セットくらい、少し強めのシェークを行いましょう。
シェークの振り方は人それぞれなので、これらを参考にご自分の一番良い振り方を模索してください。 その際に、中の氷が8の字を描くように振りましょう。
〚 Step 4 = グラスヘ注ぐ 〛
- シェーク後、まずはトップを外します( 外しにくい場合は、ねじるように外します )
- ストレーナーとボディを片手で押さえます( 人差し指はストレーナー、中指をボディ )
- ストレーナーの先は網状になっているので( 上記写真 )、そこからグラスヘ注ぎます。
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ツーピースシェーカーの使い方
〚 Step 1 = 蓋を閉める 〛
まずはツーピースシェーカー( ボストンシェーカー )の部位名称です。
小さい方が金属であれば「 ショートティン 」、ガラス製であれば「 パイントグラス 」です。
ショートティン( パイントグラス )に材料を入れ、ティンの方に氷を入れます。( 氷はティンの5 ~ 6割ほどを目安に入れます )
ショートティン( パイントグラス )の材料を氷の入ったティンに入れて、ショートティンを被せます。真っすぐ差し込むのではなく、自分側にショートティンを寝かすようにはめ込み、自分側のティンとショートティンの縁が一直線に沿っているようにします。( 写真の様に立てると曲がったようになります )
ショートティンを被せたら、上から手のひら( 掌底 )でトントンと直接 2回ほど叩きます。 圧縮されて簡単には外れなくなります。
〚 Step 2 = 持ち方 〛
ツーピースシェーカーの持ち方は、スリーピースシェーカーよりも多彩にあります。
写真にあるように、スリーピースシェーカーよりも長いので、先端と先端を押さえることと、中の氷の動きを端から端まで動くように振れば問題ありません。 右手をショートティンの方を押さえて、左手の掌を上になるように、包み込むように持ちます。
〚 Step 3 = 振り方 〛
スリーピースシェーカーと同じ動きで振るようにしてもかまいません。 シェーカー自体が長いので、スピードを抑え気味で振ると端から端まで氷が移動し、材料が混ざるので、そこをポイントとして振りましょう。
振るモーションもスリーピースシェーカーより大きく振ると自然とスピードも落ち、良く混ざるようになります。
〚 Step 4 = グラスへ注ぐ 〛
- まず左手でツーピースシェーカーを縦にして持ちます。( この時ショートティンが上に来るように持ちます )
- 左手の中指と人差し指で、ショートティンを右へ押すように持ちます。
- 右手の手のひら( 掌底 )でティンの方を軽く叩きます。( 1回でショートティンが外れない場合は2回叩きましょう )
上記写真にあるように、ティンにストレーナーを装着し、グラスヘシェークした材料を注ぎます。
写真にあるように、ティンにストレーナーを装着し、グラスヘシェークした材料を注ぎます。
フレッシュフルーツなどを材料で使用した場合は、2つ上の写真のあるように、小さい手ざるを使います。( 種など細かい余分なものをグラスヘ入れないようにするためで、スリーピースシェーカーの場合に使用する場合もあります )
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まとめ
以上が簡単ではありますがシェーカーの振り方です。
シェーカーを上手に振れるようになるには、シェーカーに限ったことではないですが「 数をこなす 」です。
まずはシェーカーのみで振ってみてください。 その次に氷を入れて振り、最後に氷と水を入れて振ってみてください。
リズムをつかめば、今度は氷の動きに注意して振ってみて、氷がシェーカーの中で縦に動いているのではなく、円を描くような感じがつかめれば一人前です。
最後にこのシェーカーの使い方は、シェークに少しでも興味がある方に向けて書きました。 混ざればいい、冷えればいいというのであればシェーカーのトップを押さえて縦に振れば大体混ざります。
あくまで「 お家で楽しくカクテルを飲む 」というコンセプトなので、自由で楽しいのが一番かと思います。
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